篠原泰之進

篠原泰之進（秦林親）：激動の幕末を駆け抜けた志士

篠原泰之進（しのはら たいのしん、文政11年（1828年） - 明治44年（1911年））は、幕末から明治にかけて生きた人物です。新選組隊士、御陵衛士としての活動で知られ、維新後は秦林親（はた しげちか）と改名しました。その生涯は、激動の時代を象徴するものと言えるでしょう。

生い立ちと武芸修行

篠原は筑後国（現在の福岡県）で、豪農の長男として生まれました。幼少の頃から武芸を好み、槍術や剣術を学びました。特に柔術に秀でており、様々な流派を修めています。

尊王攘夷運動への参加

江戸時代末期、社会情勢は不安定でした。篠原は尊王攘夷の思想に共鳴し、活動に参加するようになります。脱藩して水戸に滞在したり、江戸で攘夷論に影響を受けたりしました。浪士隊に参加したり、外国人居留地の警備にあたったりする中で、同志と交流を深めました。

新選組での活動

元治元年（1864年）、篠原は伊東甲子太郎らと共に新選組に加盟します。当初は幹部として、監察や柔術師範を務めました。近藤勇や伊東甲子太郎からの信頼も厚く、長州征伐後の尋問使としても活動しています。

御陵衛士への参加とその後

慶応3年（1867年）、篠原は伊東甲子太郎らと共に御陵衛士を結成し、新選組を離脱します。しかし、御陵衛士は間もなく分裂。篠原は油小路事件後、薩摩藩邸に匿われました。鳥羽・伏見の戦いでは薩摩軍の一員として戦い、戊辰戦争では赤報隊にも参加しました。

明治維新後

維新後、篠原は秦林親と改名し、戦功により永世士族の身分を与えられました。政府機関に勤めた後、実業家として活動しましたが、成功には至りませんでした。晩年はキリスト教に入信し、明治44年（1911年）に84歳で亡くなりました。

人物像とエピソード

篠原泰之進は、武芸に優れ、正義感の強い人物だったと伝えられています。新選組、御陵衛士という二つの組織に身を置いた経験から、その思想や行動について様々な議論があります。

司馬遼太郎の小説に登場するエピソードは創作であり、史実とは異なります。

関連資料

『秦林親日記』（回顧録）
浦辺登著『維新秘話福岡』花乱社、2020年

まとめ

篠原泰之進は、幕末の動乱期を駆け抜けた志士の一人です。新選組、御陵衛士としての活動を通じて、時代の変革に深く関わりました。維新後の人生は平穏とは言えませんでしたが、激動の時代を生きた人物として、その名は歴史に刻まれています。

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