丸興

丸興（まるこう）について

丸興は、戦後の日本において月賦百貨店の草分け的存在として知られる企業でした。1947年に設立され、その後の急成長を支えたのは月賦販売のトレンドでした。特に衣料品や家電製品の販売において競争力を持ち、丸井や緑屋と並んで月賦業界の御三家とも称されるようになります。

事業の起源

丸興の歴史は1947年11月に始まりました。シベリアから復員した佐藤治郎氏が多田公人氏と共に亀戸駅前で「建工社」という不動産業を立ち上げたのがその起点です。庶民向け住宅の販売を手掛ける一方、経済の動向に合わせて、娯楽需要が高まる中でラジオの月賦販売に着手しました。1949年には衣料品の販売にも乗り出し、1950年には資本金100万円で「株式会社丸興」が誕生します。これにより、家具と衣料品を取り扱う多角的な月賦販売の基盤を築きました。

軌道に乗る丸興

1951年には初の支店を千葉に開設し、急速に店舗網を広げました。1961年に月賦百貨店として初めて上場を果たし、その後も業務提携や新店舗の開店を通じて事業を拡大していきます。例えば、1969年にはモバラ丸興、正金百貨店と提携し、1970年には東京証券取引所の一部上場に指定されました。丸興はその名を広め、主に千葉県内での出店を強化します。

課題と転機

しかし、時代の変化と共に月賦百貨店業界は厳しい局面に差し掛かります。1970年には大型小売店舗への業態転換を図る中、現金販売比率を増やさざるを得ませんでした。1971年には旅行業にも着手し、海外旅行を月賦で提供する試みを開始します。このような変革が丸興には求められましたが、経営環境は厳しさを増していきました。

再建への取り組み

1972年にはクラレ不動産と提携し、内外からのサポートを受けようとしましたが、経営再建は容易ではありませんでした。その中でジャスコとの提携や、小型店の家電量販店への転換を進めました。しかし、経営環境は依然として厳しく、1983年にはダイエー系の朝日クレジットと提携して再建を図ります。1984年には朝日クレジットと合併し、丸興時代は終焉を迎えます。

丸興のその後

1987年、商号を「ダイエーファイナンス」に変更し、正式に丸興としての長い歴史にピリオドを打ちました。創業から40年近くにわたる月賦百貨店としての事業は、多くの日本の消費者に影響を与えましたが、流通業全体の変遷と共にその役割を終えることとなります。今日、丸興の足跡は流通業の中で語り継がれ、現代の小売業においてもその影響力を示しています。

まとめ

丸興は、日本の月賦百貨店の歴史において重要な位置を占め、経済の動きとともに発展した企業でした。その記録は今も日本の小売業の成り立ちを知る上で欠かせない要素となっています。

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