丸茂鉱

丸茂鉱：スイス発、日本にも産出する希少鉱物

丸茂鉱(Marumoite)は、鉛、ヒ素、硫黄からなる希少な硫塩鉱物です。1983年頃、スイスのレーゲンバッハで東京大学の研究者によって発見され、1998年に国際鉱物学連合によって正式に新鉱物として承認されました。その化学式はPb₃₂As₄₀S₉₂と複雑で、単斜晶系という結晶構造を有しています。

この鉱物の命名は、東京工業大学の丸茂文幸博士への敬意を表してなされました。丸茂博士は、硫塩鉱物の結晶構造解析において顕著な貢献を果たしており、その功績を称えるために、この新鉱物に「丸茂鉱」という名が与えられたのです。鉱物学の世界では、重要な発見や研究業績を残した人物の名を冠した鉱物が数多く存在しますが、丸茂鉱もその一つと言えるでしょう。

丸茂鉱の発見は、鉱物学研究における大きな進歩を示す出来事でした。その複雑な化学組成と結晶構造は、鉱物形成に関する新たな知見を提供し、さらなる研究の展開を促しました。発見後、世界各地の研究者によって、丸茂鉱の性質や生成条件に関する研究が活発に行われています。

興味深いことに、丸茂鉱は日本でも産出が確認されています。富山大学の研究者によって、青森県の奥戸鉱山から産出することが報告されました。これは、スイス以外での産出例として貴重な発見であり、丸茂鉱の分布や生成環境に関する理解を深める上で重要な情報となります。日本の地質学的環境において、丸茂鉱がどのような条件で生成されるのか、今後の研究が期待されます。

このように、丸茂鉱は、その発見から命名、そして産出状況に至るまで、多くの研究者によって積み重ねられてきた研究成果の結晶と言えるでしょう。この鉱物は、鉱物学の進歩に貢献しただけでなく、国際的な研究協力の重要性を示す例としても意義深い存在です。今後、さらに詳細な研究が進められることで、丸茂鉱に関する知識は深まり、新たな発見がもたらされる可能性があります。

関連事項

発見地: スイス レーゲンバッハ、青森県奥戸鉱山
化学組成: Pb₃₂As₄₀S₉₂
結晶系: 単斜晶系
命名由来: 東京工業大学 丸茂文幸博士
* 関連分野: 鉱物学、結晶構造解析、鉱床学

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