丹宗暁信

丹宗 暁信について

丹宗 暁信（たんそう あきのぶ、1927年6月2日 - 2014年1月31日）は、日本の法学領域において卓越した経歴を持つ経済法学者であり、弁護士としても活躍しました。九州大学で法学博士の学位を取得し、北海道大学や千葉大学などで教鞭を執りました。また、経済法の発展に大いに寄与し、特に国際経済法学の創始者として名を馳せています。

学歴と職歴

丹宗は1952年に東京大学法学部を卒業し、その後同大学院に進学して1957年に特別研究生として修了しました。1958年には九州大学法学部に助教授として就任し、経済法を含む様々な科目を教えました。1960年にはフルブライト奨学金を得てコロンビア大学ロースクールに留学し、1962年には「経済法学の体系化のための基礎理論の考察」により法学博士の称号を取得しました。

その後、1967年には北海道大学法学部で教授職に就き、1979年には立命館大学法学部で教授に任命されました。1984年には同大学の法学部長を務め、さらに1986年には千葉大学法経学部で国際経済法を担当する教授となりました。1991年に千葉大学を退官後は大東文化大学法学部の教授として教壇に立ち、同時に弁護士としても登録を行いました。大東文化大学では法学研究科の委員長としても活動し、2003年に退職後は自ら法律事務所を設立しました。

学問的貢献

丹宗は国際法学者の大平善梧や佐藤和男とともに国際経済法学の新たな理論を提唱しました。彼の学説では、従来の独占禁止法の解釈に対して独自の見解を強調し、企業結合や企業集中の規制をカルテル規制の一環として捉えることが重要だと述べています。

特に「実施時説」を提唱し、不当な取引制限の成立には、合意内容が実際に実施されることが不可欠であると主張しました。この考え方は、法学界において重要な影響を与えており、現在の独占禁止法に関する基本文献にもその考え方が反映されています。

主な著作

丹宗の著作には、独占や寡占市場構造に関する法理を扱った『独占および寡占市場構造規制の法理』や、経済法全般を体系的に扱った『経済法』などがあります。また、厚谷襄児との共編で発表された『独占禁止法の基礎』や、国際経済法に関する文献も数多く発表され、多様な分野に亘って学問の発展に貢献しました。

人物像

丹宗暁信は、学術界だけでなく、実務界においてもその名を知られる存在でした。彼の研究は、その深い知見と広い視野によるもので、学生や同僚からも信頼される教授として、多くの後進を育成しました。日本の法学史において重要な役割を果たし、経済法に関する彼の理論や実践は、今もなお多くの学者や実務家に受け継がれています。

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