丹羽長裕

丹羽長裕：激動の時代を生きた二本松藩最後の藩主

丹羽長裕は、戊辰戦争後の動乱期に二本松藩の舵を取った、重要な歴史人物です。陸奥国二本松藩の第11代にして最後の藩主として、その生涯は激動の幕末から明治維新へと続く時代を反映しています。

長裕は、出羽国米沢藩主・上杉斉憲の九男として誕生しました。母は高松藩主・松平頼恕の娘という、名家の血筋を引く出自を持ちます。幼名は頼丸。

二本松藩は、奥羽越列藩同盟に加盟し、新政府軍と激しく戦いました。その結果、藩の状況は大きく変化します。明治元年（1868年）、先代藩主・丹羽長国は新政府から隠居を命じられ、知行は半減、石高は5万石となりました。この動乱の中、頼丸は養子として丹羽家を継ぎ、長裕と名乗る事になります。

明治2年（1869年）6月19日、版籍奉還により二本松藩知事に就任。明治3年（1870年）には藩政の一部を参事に委任し、自ら東京へ遊学することを政府に願い出ます。そして、同年12月25日、政府から遊学の許可を得ています。これは、新たな時代の到来を予感させる行動でもありました。

学問を修め、時代の変化に対応しようとする彼の姿勢は、旧体制からの脱却を図ろうとした多くの藩主たちの行動と軌を一にしています。その後、1884年7月8日には子爵に叙爵され、華族として新たな地位を得ます。

明治19年（1886年）、長裕は世を去ります。跡を継いだのは、実弟の長保（上杉斉憲の十一男）でした。

長裕の生涯は、単に藩主としての役割にとどまりません。彼は、激動の時代を生き抜き、新しい制度や文化を取り入れながら、自らの生き方を模索した人物だったと言えるでしょう。

また、丹羽氏の墓所は、菩提寺である福島県二本松市の大隣寺と、東京都の青山墓地の二ヶ所に分かれていました。長裕の墓も、当初は長国とともに青山墓地にありましたが、2024年（令和6年）に大隣寺に新たに整備される丹羽家墓所へ移設される予定です。これは、一族の結束を象徴する出来事と言えるでしょう。

彼の家族構成も注目に値します。実父は上杉斉憲、実母は松平頼恕の娘である郁姫。養父は丹羽長国、妻は丹羽長国の長女である峯です。娘に丹羽芳子（岩城隆邦継室）がおり、養子として実弟の長保を迎えました。この家族関係も、彼の複雑な人生を物語っています。

丹羽長裕の生涯は、単なる藩主の物語ではありません。幕末から明治へと移り変わる激動の時代の中で、彼は時代の変化を受け入れ、新しい道を切り開こうとした、一つの象徴と言えるでしょう。彼の取った行動、そして彼の辿った人生は、現代においても多くの示唆を与えてくれるはずです。

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