上杉斉憲

上杉斉憲（うえすぎ なりのり）

上杉斉憲は、文政3年（1820年）に米沢藩11代藩主・上杉斉定の長男として生まれました。父と同様に、11代将軍・徳川家斉から偏諱を受け、斉憲と名乗りました。

生涯

天保7年（1836年）に従四位下・侍従兼式部大輔に叙任され、天保10年（1839年）に家督を継ぎました。同年には弾正大弼に転任しています。安政3年（1856年）には、海外防備のための出費を賄うために藩士の知行借り上げを復活させました。安政6年（1859年）には、藩内に種痘を推奨するなど、領民の健康増進にも尽力しました。

文久3年（1863年）には、徳川家茂の京都上洛に随行し、二条城の警護にあたりました。同年には左近衛権中将に転任しています。元治元年（1864年）には従四位上に昇叙されました。

斉憲は藩政改革に尽力し、軍隊に洋式訓練を取り入れるなど、藩政に大きな成功を収めました。その功績により、慶応2年（1866年）には屋代3万7千石を加増されています。これは上杉家にとって実に2世紀半ぶりの領地増加であり、豊臣政権時代以来の出来事でした。この功績から、斉憲はかつての名君・上杉治憲（鷹山）に次ぐ名君とまで称されました。また、開明的な人物であり、開国にも積極的であったとされています。

慶応4年（1868年）に戊辰戦争が勃発すると、米沢藩は会津藩と共に討伐の対象となりました。斉憲は当初、新政府の意向に従い恭順を考えていましたが、嘆願の書状が握りつぶされたため、新政府に抗議し奥羽越列藩同盟の副盟主として新政府軍と戦うこととなりました。米沢軍は一時新政府軍を圧倒し、新潟港を奪還するまでになりましたが、新発田藩の寝返りなどにより、新政府軍の猛攻を受け敗走しました。その後、斉憲は解官されています。

戦況が悪化したことや、京都・江戸での外交工作などもあり、斉憲は新政府軍に降伏しました。その後は、味方であった会津と庄内に兵を送りました。奥羽越列藩同盟の事実上の盟主であったため、「裏切り者」などと非難されることもありました。明治維新後、米沢藩は領地を14万7千石に削減されました。明治元年12月7日、斉憲は家督を長男・茂憲に譲り、隠居しました。明治2年（1869年）9月28日には従三位に叙位されています。明治22年（1889年）5月20日に死去、享年70歳でした。

人物

斉憲は、幕末の激動期において、藩政改革を推進し、殖産興業や軍制改革に尽力しました。戊辰戦争では奥羽越列藩同盟の副盟主として新政府軍と戦い、その決断は賛否両論ありますが、米沢藩の存続のために尽力したことは評価されています。

家族

父：上杉斉定
母：芙蓉院
正室：貞姫
継室：郁姫
* 子女：茂憲、栄子、勝賢、猷子、熊松、丹羽長保、純子、千鶴子、亀雄など

斉憲は、激動の時代を生きた米沢藩主として、その生涯は様々な評価を受けています。しかし、藩政改革や戊辰戦争における行動は、米沢藩の歴史において重要な位置を占めています。

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