久保恒造

久保恒造

1981年5月27日に北海道美幌町で生まれた久保恒造氏は、冬季競技と夏季競技の両方で世界を舞台に活躍する車いすアスリートです。現在は日立ソリューションズの「チームAURORA（アウローラ）」車いす陸上競技部に所属しています。

競技人生の始まりと冬季競技での飛躍

高校3年生の時、交通事故に遭い脊髄を損傷。これにより下半身に麻痺が残り、車いすでの生活となりました。当初は障害者車いすマラソンの国際大会で競技を続けていましたが、2007年に荒井秀樹監督との出会いを契機に、クロスカントリースキーへの挑戦を開始します。冬季競技への転向後、その才能はすぐに開花。2008年2月のジャパンパラリンピッククロスカントリースキー競技会に初出場ながら優勝を飾り、続く2008年にはワールドカップノルウェー大会にも出場を果たしました。

バイアスロン競技でも頭角を現し、2009年のワールドカップでは年間総合ランキング2位という好成績を収めます。2010年のバンクーバーパラリンピックでは、クロスカントリースキーの15km座位で7位、リレーで5位、1kmスプリント座位で21位の成績を残しました。バイアスロンでは12.5km座位で6位、2.4kmパシュート座位で9位と、複数の種目で入賞を果たす活躍を見せました。

ワールドカップでの活躍は続き、2011-12シーズンにはバイアスロン年間総合ランキング2位に。そして2012-13シーズンにはバイアスロン年間総合優勝という快挙を達成しました。この勢いのまま迎えた2013年のIPC世界選手権（スウェーデン・ソレフテオ）では、バイアスロン15km座位で金メダルを獲得。7.5km座位と12.5km座位でも銀メダル、クロスカントリースキー10kmクラシカル座位でも銅メダルを獲得し、世界のトップアスリートとしての地位を確固たるものにしました。そして、2014年のソチパラリンピックでは、バイアスロンショート（7.5km）で銅メダルを獲得し、自身初のパラリンピックメダルを手にしました。

夏季競技への転向と新たな挑戦

ソチパラリンピックでの成功を経て、久保選手は2014年4月より車いす陸上競技へと活動の場を移しました。長年培ってきた高い身体能力と競技への真摯な姿勢は、陸上競技でも遺憾なく発揮されます。車いすマラソンでは、2012年の大分国際車いすマラソン大会で5位（日本人3位）に入り、1時間30分25秒の記録を残しました。2013年の同大会でも6位に入っています。また、IPC陸上競技世界選手権大会やスイス国際車いす陸上大会にも出場し、5000mで4位に入るなど、国際舞台での経験を重ねました。

2016年には、リオデジャネイロパラリンピック大会に車いす陸上競技の日本代表として出場。5000m（T54クラス）とマラソン（T54クラス）に挑み、再びパラリンピックの舞台で力強い走りを見せました。

受賞歴

久保恒造氏の輝かしい功績は、地元である美幌町から「栄誉賞」（2度）として讃えられています。さらに、北海道からも「道民栄誉賞」が贈られ、その活躍が多くの人々に勇気と感動を与えていることが認められています。

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