久保田畯

久保田畯：官僚から弁護士へ至る波瀾万丈な生涯

久保田畯（くぼた たおさ）は、明治30年（1897年）8月4日、熊本県阿蘇郡に生まれ、昭和63年（1991年）5月27日にその生涯を閉じました。彼は、大正から昭和期にかけて活躍した官僚であり、弁護士としても成功を収めた人物です。その経歴は、激動の時代を反映した、まさに波瀾万丈と言えるものでした。

久保田は、第五高等学校を経て、大正9年（1920年）高等試験行政科試験に合格。翌年には東京帝国大学法学部法律学科を卒業し、内務省に入省します。地方局属としてキャリアをスタートさせると、その後は北海道庁理事官、愛知県警視、内務事務官、さらには複数の県で書記官や部長職を歴任。千葉県、宮城県、岐阜県、群馬県、愛媛県、山梨県、神奈川県と、各地で行政の中枢を担いました。これらの経験を通して、地方行政の幅広い知識と経験を積み重ねていったのです。

昭和15年（1940年）12月、久保田は福井県知事に就任します。福井県知事としての職務は、およそ1年にも満たない期間でしたが、この経験が彼のキャリアに大きな影響を与えたことは間違いありません。昭和17年（1942年）1月、知事を退任すると、同年3月7日には、第25軍軍政部ペラ州長官に就任。さらに同月17日には陸軍司政長官に就任します。これらの役職は、まさに時代の転換期における重要な役割を担っていたことを示しています。その後、軍需省四国軍需管理部長を経験しました。

戦後、公職追放となった久保田ですが、その後は弁護士として開業。日本工営監査役も務めました。官僚としての経験を活かし、新たな分野で活躍の場を見出したのです。彼は、激動の時代を生き抜き、官僚としての職務と弁護士としての活動の双方で成功を収めました。その生涯は、時代の変化に対応し、常に柔軟に自身を変化させていくことの大切さを示す好例と言えるでしょう。

久保田のキャリアは、単なる官僚の経歴というだけでなく、日本の近代化と戦争、そして戦後の復興という激動の時代を生き抜いた一人の人物の生き様を物語っています。彼の経験と知識は、現代社会においても貴重な教訓となるでしょう。また、昭和15年（1940年）8月15日には、紀元二千六百年祝典記念章を受章しています。これは、彼の功績が広く認められた証と言えるでしょう。

久保田畯の生涯は、多くの文献に記録されています。例えば、『北海道人名辞書』（金子信尚編、北海民論社、1923年）、『新編日本の歴代知事』（歴代知事編纂会編、1991年）、『現代物故者事典 1991～1993』（日外アソシエーツ、1994年）、『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』（秦郁彦編、東京大学出版会、2001年）など、彼の生涯と業績を知る上で貴重な資料となっています。これらの資料を参照することで、より深く久保田畯という人物像を理解することができるでしょう。

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