久松潜一

久松潜一の生涯と業績

久松 潜一（ひさまつ せんいち、1894年12月16日 - 1976年3月2日）は、日本文学の研究に生涯を捧げた著名な国文学者である。彼は愛知県知多郡藤江村（現在の知多郡東浦町）で生まれ、愛知一中や第八高等学校を経て、1919年に東京帝国大学文学部国文学科を卒業した。その後、同大学院に進学し、文学博士の学位を得ることとなる。

学問と結婚

大学院在学中に、1922年に著名な国文学者佐佐木信綱の三女である三枝子と結婚。彼は1925年に東京帝国大学国文学科助教授に就任し、その後も順調に昇進を果たす。1934年には「日本文学評論史ノ研究」を執筆し、同年東京大学の教授に就任。1940年代には、国文学界での存在感を増し、国体に関する編纂作業なども手がけた。

退官後の活動

1955年に東京大学を退官したのち、名誉[[教授]]としての地位に加え、慶應義塾大学、鶴見女子大学、國學院大學で教え続けた。また、国文学界における彼の影響力は衰えず、国士としての精神を鼓吹し続けた。彼は特に1939年に学士院賞を受賞して以降、文化功労者や旭日重光章の受章など数々の名誉を得て、政治や文化においてもその地位を確立した。

文学研究の特色

久松は古典文学に関する広範な研究を行い、契沖研究や国学、『万葉集』、和歌に重点を置いた基礎的な研究を展開した。また、彼自身も「心の花」という歌のグループに参加する歌人として知られ、その詩的な感性を活かした文化活動にも尽力していた。戦時中には日本文学報国会の幹事長として活動し、民族精神の鼓舞に貢献したため、戦後にはその戦争責任が問われる事件もあった。

学問の成果と著作

久松の研究は多岐にわたり、その著作は数百点に及ぶ。戦前には『萬葉輯の新研究』『上代日本文學の研究』『日本文學概説』などを発表し、戦後には『日本文學と文藝復興』『和歌史』『萬葉研究史』などを執筆した。彼の作品は、日本の古典文学全般にわたる深い洞察を示しており、今なお多くの研究者に影響を与えている。

エピソードと晩年

教育者としての久松は、学生の学位論文を長期間放置したり、教授の選考において反対意見に直面したりと、波瀾万丈なエピソードが多く存在する。1976年に肺癌のため亡くなり、彼の遺志は愛知県立東浦高等学校の校歌の作詞という形でも表現されている。彼の墓所は東浦町の安徳寺にある。

結論

久松潜一は、日本の国文学界に多大な影響を与えた研究者であり、彼の業績は今なお研究の礎として評価され続けている。彼が残した著作物や研究成果は、今後の文学研究にも重要な指針を提供するものであり、彼の名は日本文学の歴史に刻まれている。

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