日本文学報国会

日本文学報国会の概要

日本文学報国会（にほんぶんがくほうこくかい）は、1942年5月26日に設立された文学団体で、主に第二次世界大戦中の日本において情報局の外郭団体として活動していました。この団体は、国の政策に従い、文学を通じた国策の周知と普及を目指しました。

前史 - ペン部隊の活躍

日本文学報国会の成立前、1938年に発足した「ペン部隊」は、この団体の前身となるものでした。この部隊は、日華事変に関連し、内閣情報部の指導のもとで文学者たちが従軍し、その経験を文書化する活動を行っていました。特に漢口攻略戦では、多くの文学者が従軍し、作家たちの見聞記が新聞や雑誌に掲載され、戦意高揚に寄与しました。

大政翼賛会と文学

1940年に設立された大政翼賛会を背景に、日本文藝家協会は新体制に組織変更し、文学界における統一を図りました。文学者愛国大会なども開催され、士気を高める文芸活動が進められました。

日本文学報国会の発足と組織

1942年、日本文芸中央会を基盤に日本文学報国会が設立され、国の政策への文学者の協力が促進されました。会長には徳富蘇峰が就任し、会の運営は多数の有名作家や学者が参加しました。部会として小説、劇文学、評論など八部会を設置し、後に漢詩漢文部会を追加しました。

事業と活動

日本文学報国会は、文学報国運動講演会や文学報国大会を開催し、国を挙げての文化活動を展開しました。機関紙『文学報国』も発行され、会の活動内容が広く伝えられました。

大東亜共同宣言への協力

大東亜共同宣言が発表された際、日本文学報国会はその内容を文学で表現しようとしたことが特筆されますが、実際に完成した作品は極めて限られていました。このことは、作家たちの創作活動が国策にどのように影響を受けていたかを示しています。

戦後の解散

終戦後、日本文学報国会は1945年に解散しました。その後、多くの会員が再び文藝家協会に戻りました。特に、文学報国会に参加した作家たちは新たな文化環境の中で活動を模索し続けました。

結論

日本文学報国会は、戦争という特異な時代において文学と国策の関わりについて深く考察させられる事例です。作家たちがどのようにして戦争に対して文学を通じて関与していたのか、また、その影響が戦後にどのように波及したかを理解する上で、重要な事象と言えるでしょう。

もう一度検索