久次米兵次郎

九代 久次米 兵次郎の生涯

九代久次米兵次郎（くじめ ひょうじろう）は、1829年6月12日、阿波国名東郡新居村（現在の徳島市不動北町）で生を受けました。彼は、藍商人である八代久次米兵次郎とその妻の間に生まれ、幼名は国太郎と名付けられました。久次米家は代々藍の商売に従事しており、兵次郎もその影響を受ける形で成長していきました。

家督の相続と銀行業への進出

1869年、兵次郎は40歳で家督を相続し、名を九代久次米兵次郎と改めます。彼は藍商人としての基盤を持ちながら、経済発展に貢献するための新たな道を模索していました。1879年には、久次米家の経済力をもとに、名東郡船場町に日本で6番目となる私立銀行、久次米銀行を設立します。この銀行は資本金50万円でスタートし、当時は三井銀行に次いで規模が大きいものでした。

教育と宗教への貢献

久次米家は真言宗の檀徒であったものの、兵次郎は1882年に曹洞宗宗立専門学校の土地購入に対してほぼ全額を援助しました。この行為は、後の駒澤大学へとつながる重要な支援の一環と言えます。彼の寄付によって専門学校は成長し、1913年には駒沢に移転することとなります。

商業活動と金融恐慌

1887年には商社「久次米商会」を設立し、事業の多角化を図りましたが、1890年には日本全体を襲う金融恐慌の影響で久次米銀行は破綻を余儀なくされました。この破綻により、九次米銀行は1898年に事実上消滅します。しかし、兵次郎の経営資源を基にした合名会社・阿波銀行が設立され、その後、阿波商業銀行（現在の阿波銀行）として再生を果たしました。

栄典と功績

兵次郎は、政府からも評価され、1887年9月には従六位に叙任されます。また、同年内には金製黄綬褒章を受賞するなど、その影響力は広がっていました。彼の活動は、堅実な経済基盤の構築だけでなく、教育機関への支援を通じて地域社会にも大きな貢献を残しました。

まとめ

九代久次米兵次郎は、近代日本における重要な銀行家であり、その経済的な成果と社会貢献は、今日まで多くの人々に影響を与えています。彼の生涯は、商業活動や地域社会への支援に関する多様な学びを提供し、特に教育の分野においては、その影響が長く続いています。

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