久米氏

久米氏について

久米氏（くめうじ）は、日本の古代に起源を持つ氏族であり、特に軍事的な役割を担っていたことで知られています。その起源は古代の神話や歴史書にまで遡ることができ、さまざまな伝説や伝承が存在します。

久米直とその系譜

久米直は、久米氏の中核をなす氏族であり、『新撰姓氏録』によると、高御魂命の8世の孫、味耳命（うましみみのみこと）や、神魂命の8世の孫、味日命（うましひのみこと）の子孫とされています。久米氏は久米部（くめべ）という軍事的な部族を構成しており、大伴氏の配下として活動していると考えられています。『日本書紀』には、天孫降臨の際、天忍日命が久米氏の祖先である天津久米命を率いて瓊瓊杵尊を先導したエピソードが記されています。これは、久米氏の軍事的役割を示す重要な記録の一つです。

久米氏と大伴氏

『古事記』においては、久米氏と大伴氏は対等な立場として描かれており、天忍日命と天津久米命の二人が共に天孫降臨に関与したとされています。この描写からは、過去に久米部を統治していた一族が衰退し、それに代わって大伴氏がその役割を担った可能性があることが示唆されています。久米舞という神楽や戦闘歌は、久米氏の文化的側面を示す大切な要素であり、氏族の特徴を考察するための手がかりとなります。

由来の諸説

久米氏の「久米」という名に対してはいくつかの由来が考察されています。本居宣長はこの言葉を「人の目の円く大きく」から派生したと主張し、その他にも「クメ＝クミ（組）」説や、軍隊の「ムレ（群れ）」説、さらには「肥人つまり異民族の部民」という意義を含む説などがあります。また、久米氏が南大和の王権に属するようになった経緯や、地域における共同生活の様相についても言及されています。

地域ごとの久米氏

久米氏は日本各地に存在し、それぞれに異なる起源と歴史があります。

大和国の久米氏

この氏族は大和国高市郡久米郷から起こり、春日氏の傍流とされています。彼らの中には、蘇我稲目の子孫にあたる久米薬子を祖とする者もいます。

尾張国の久米氏

尾張国における久米氏は、七掬脛の子、八甕命の流れを汲むと言われ、氷上神社の祠官としての役割を持っています。

武蔵国の久米氏

武蔵国入間郡に起源を持ち、本姓は桓武平氏に由来する村山氏から分かれたとされます。

常陸国の久米氏

常陸国久慈郡に存在した久米氏は、藤原北家小野崎氏流として知られており、独自の歴史を持っています。

出羽国の久米氏

出羽国山本郡飯詰郷の久米氏は、飯詰氏を名乗る領主でもあり、藤原氏の一族に起源を持つとも言われています。戦国時代にはこの地域に広がり、現在の秋田県南部から中部にかけて、多くの久米姓が存在しています。

結論

久米氏は、神話や伝承に深く根ざし、日本の歴史の中で重要な役割を果たしてきた氏族です。彼らの文化や歴史は、地域によって異なるものの、共通して軍事的な役割を持つことから、日本の古代社会における重要な存在であったと言えます。

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