久能靖

久能靖：ジャーナリスト、アナウンサー、そして皇室報道のパイオニア

久能靖（くのう やすし）は、1936年2月13日生まれの日本のジャーナリスト、アナウンサーです。元日本テレビアナウンサーであり、同局専属ニュースキャスターとしても活躍しました。千葉県出身で、妻は元宝塚歌劇団の女優、久美かおるです。

アナウンサーから報道記者へ

長野県で少年時代を過ごし、神奈川県立小田原高等学校、東京大学文学部を卒業後、1960年に日本テレビに入社しました。アナウンサーとして、ニュース、スポーツ、舞台中継など幅広いジャンルを担当しました。同期入社には、久保晴生、宮尾俊輔がいます。

1972年には、連合赤軍あさま山荘事件の長時間実況報道を担当し、その報道をきっかけに報道部への異動を志願、記者に転身しました。この決断が、彼のジャーナリストとしてのキャリアを大きく変えることになります。

皇室ジャーナリストへの転身

1988年9月19日、「昭和天皇重体」の一報を受け、報道局に詰め取材にあたります。以後、昭和天皇の崩御まで皇室や宮内庁の動向を追い続け、報道特別番組のキャスターを務めたことが、皇室ジャーナリストへの転身のきっかけとなりました。皇室報道における彼の功績は非常に大きく、今日の皇室報道の礎を築いた一人と言えるでしょう。

1990年9月、55歳で日本テレビを定年退職しますが、その後も日本テレビと専属契約（実質的には嘱託契約に近い待遇）を結び、キャスターとしての出演を継続しました。1992年には、フリーの立場で「皇室グラフィティ（現在の皇室日記）」の立ち上げに参画。ニュースコーナーでは報道局制作の原稿を使わず、自らメモを作成し、分かりやすく伝えることに徹しました。また、時折ダジャレを織り交ぜるなど、独自のユーモアセンスで既存のキャスターイメージを刷新したパイオニアでもありました。

後進へのバトンタッチ

2004年5月、「日テレにはここまで育てて頂き感謝している。可能なら報道局の後輩にバトンタッチしたい」と語り、長年務めてきたニュースコーナー「情報特急便（おもいッきりテレビ）」、「NEWS撮って出し（ザ・ワイド）」のキャスターを降板。希望通り、報道部の後輩である真山勇一に引き継ぎ、日本テレビとの専属契約を円満終了しました。

現在の活動

その後、長野県に移住し、皇室ジャーナリストとして活動を続けています。また、日本テレビ系列局であるテレビ信州の報道番組『TSB NEWS 報道ゲンバ』に、月曜日のコメンテーターとして2009年3月まで出演していました。

著書

久能靖は、数多くの著書も執筆しています。主な著書には、以下のものがあります。

『浅間山荘事件の真実』
『「よど号」事件　122時間の真実』
『高円宮殿下』
『川上犬物語』
『日本の皇室　なぜ、菊の御紋なの？』
『知られざる皇室　伝統行事から宮内庁の仕事まで』
『カラー図説　天皇の祈りと宮中祭祀』
『皇宮警察』
『知っているようで知らない「日本の皇室」がわかる本』
『実録 昭和の大事件「中継現場」』

これらの著書は、彼のジャーナリストとしての視点と、皇室に関する深い知識を窺い知ることができます。

まとめ

久能靖は、アナウンサー、報道記者、ニュースキャスター、皇室ジャーナリストとして、常に第一線で活躍してきた人物です。その卓越した取材力と分かりやすい解説は、多くの人々に支持されてきました。特に皇室報道においては、その第一人者として、今日の皇室報道の基礎を築いたと言えるでしょう。

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