久野忠治

久野忠治の生涯と政治キャリア

久野忠治（くの ちゅうじ、1910年2月27日 – 1998年10月25日）は、日本の著名な政治家であり、郵政大臣を務めた。彼は衆議院議員を14期にわたり務め、政治界で長い足跡を残した。愛知県知多郡知多町（現・知多市）にて、石材商の二男として生まれ、若いころから家業に尽力する一方で、政治家としての道を歩み始めることとなった。

学業と家業

久野は1929年に東海中学校（現・東海高等学校）を卒業し、その後は家業である石材店に従事していた。さらに、父が設立した土建業「久野組」を引き継ぎ、社長として活動を開始した。この時期、彼の経営者としての手腕が徐々に評価されていくこととなる。

政治活動の開始

1947年、久野は第23回衆議院議員総選挙に民主党の候補者として立候補したが、次点で落選。翌1949年には第24回衆議院議員総選挙に再挑戦し、ついに当選を果たした。同年には池田勇人や前尾繁三郎など、政治家として優秀な同期たちと共に衆議院に足を踏み入れる。今後の彼の政治活動は、この時期から本格的に始まった。

自民党への参加

1950年、民主党は内部分裂し、久野は民主自由党に入党する。この頃、吉田茂や佐藤栄作に師事し、彼らの下で保守派政治に邁進することとなる。保守合同後は衆議院内閣、文教、議会運営など様々な委員長職を歴任し、自民党内でも大きな影響力を持つ存在へと成長していった。また、珍しく佐藤派の中で親中派として知られ、アジアとの関係改善に尽力した。

都知事選挙と音楽

1967年、久野は自民党都知事選本部事務総長に就任し、松下正寿の推薦に尽力した。この選挙を支えるために、彼は自作の歌「松下正義の歌」を作り、音楽を通じて政治活動に寄与した。これにより、彼は政治家としてだけでなく、文化的側面でも存在感を示すことができた。

北朝鮮訪問と郵政大臣

1972年、久野は北朝鮮を訪れ、議員団長として日朝共同声明に調印。この訪問は彼の政治キャリアの中でも特に重要な出来事の一つとされ、次いで第2次田中角栄内閣にて郵政大臣に就任する。翌年には日中海底ケーブル建設の合意を取り付け、国際的な政治活動にも貢献する。

引退と晩年

1983年の総選挙では落選したものの、1986年の選挙で国政に復帰。その後、1989年には衆議院仮議長を務め、1990年に政界から引退した。1991年には春の叙勲で勲一等旭日大綬章を受章し、その功績が讃えられた。1998年、久野は脳梗塞により88歳で亡くなったが、その政治の足跡は日本の歴史の一端を担っている。

評価と影響

久野の政治スタイルは、特に当時の首相である佐藤栄作からは厳しく評価され、「スパイまがいな処がある」と言われたこともあったが、同時に彼の影響力は多くの場面で見て取れる。彼の長い政治キャリアは、日本の現代史において重要な役割を果たしたことは間違いない。

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