乙訓惣国一揆

乙訓惣国一揆について

乙訓惣国一揆（おとくにそうこくいっき）は、室町時代の後期から戦国時代初期にかけて起こった重要な一揆の一つです。主に京都郊外の西岡地区を中心に、山城国乙訓郡に住む国人や地侍、土豪たちが連携して行動しました。この一揆は、さまざまな名前でも知られており、乙訓国一揆や乙訓郡一揆、さらには西岡十一ヵ郷国一揆や乙訓郡中惣などとも呼ばれます。

背景と原因

この一揆は、特に長享元年（1487年）の出来事に端を発します。応仁の乱の際、西軍として参戦していた結果、地域の所領が細川政元に与えられたことが直接的な引き金でした。これにより、細川氏の被官がその土地に進出してくることが決まったため、地元の武士である鶏冠井雅盛や物集女光重、神足友善、野田泰忠たちが集まり、向日神社で会合を開きました。その結果、彼らは細川氏の被官入部を阻止し、「守護不入」の方針をとることを決定しました。

一揆の展開

以降、年寄衆と呼ばれる地域の代表者たちが一揆の運営を行い、細川氏との交渉を進めました。しかし、明応7年（1498年）になると、細川氏の守護代である香西元成が寺社本所領に対して年貢の五分の一を徴収する権利を得ることが認められたため、一揆は再び活発化しました。この際、彼らは守護権力に対抗し「国持」の実現を目指しました。

その後、両者の折衝を経て、礼銭を収めることで五分の一済は撤回され、一揆は再び沈静化の方向へと向かいました。しかし、この過程においても、乙訓郡内の武士たちは一定の団結を保ち続けました。特に、西岡地区はもともと室町幕府の直轄地であり、武士たちの拠点であったことから、乙訓惣国一揆の影響は京都周辺の政治情勢にも大きく作用しました。

その後の影響

乙訓惣国一揆の後も、地域の武士たちの絆は強く維持され、戦国時代の末期まで一定の団結が見られました。この一揆は、地方における武士と農民の関係を象徴する事件の一つであり、当時の社会情勢を反映した重要な出来事として位置づけられています。とりわけ、山城国一揆など他地域との関係や、上部勢力との繋がりがどのように影響し合っていたのかについては、今なお解明されていない部分が多く、研究の余地があります。

結論

乙訓惣国一揆は、室町時代と戦国時代の過渡期における地方の権力抗争において、地域の人々が連携し、権力に対抗しようとしたことで知られる重要な歴史的事件であり、今後もさらなる研究が期待されています。

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