九〇式二十四糎列車加農

九〇式二十四糎列車加農について

九〇式二十四糎列車加農は、大日本帝国陸軍が1920年代の後半から1930年代の初めにかけて開発した、大口径の列車砲です。この火砲は、最大射程が50,120メートル（50.12km）であり、当時の日本軍にとっては最長射程を誇る原動力を持った戦闘部隊でした。また、この加農は、後に登場する大和型戦艦の46センチ砲の射程42,000メートルを超える特徴を持っていました。

開発の歴史

第一次世界大戦の間、ヨーロッパでは鉄道網が発展し、陸軍が長距離射程の海岸砲や旧式艦砲を鉄道車両に搭載する「列車砲」という新たな戦術を採用していました。この流れを受けて、日本陸軍も自国の発展途上な鉄道網を超えて、満州方面での運用を視野に入れた列車砲の研究に着手しました。

戦争後、フランスのシュナイダー社から新型の列車砲が注目され、陸軍は1926年に購入契約を結び、1929年には日本に到達しました。最終的には1931年に九〇式二十四糎列車加農として制式化されましたが、フランスから輸入されたのは砲身部分のみで、車両やその他の装備はすべて日本で製造されました。

特徴

この列車加農は、射撃時に線路の両側に設けられた支柱を用いて安定性を確保する設計になっています。操作のための電源は砲車に付随する電源車から供給され、射撃後は水圧と空気圧の二重後座方式を利用して砲身が後退し、砲を支える部材も連動して後退する構造を採用していました。

実戦での運用

制式化以降、九〇式二十四糎列車加農は試験を受けた後、千葉県の陸軍技術本部に保管されていました。しかし、太平洋戦争の開戦前には、日本軍火砲の中で最も長射程を誇るこの火砲が実戦に配備されることになりました。特に虎頭要塞では、日本軍の国境守備隊に対する支援として重要な役割を果たしました。

1941年の終わりには、九〇式加農は鉄道で運ばれ、南満州鉄道上で組み立てと運行テストを実施。また、虎頭要塞に配置されたこの砲は、同地を守る武器として、ソ連の労農赤軍と対峙する用意が整えられていました。

しかし、1945年8月9日にソ連が対日参戦し、満州に侵攻した際には、九〇式加農はすでに移動されており、実戦に参加することはありませんでした。最終的には、敗戦の結果としてソ連軍に接収されたことが記録されています。

まとめ

九〇式二十四糎列車加農は、当時の技術と戦略を反映した日本陸軍の重要な火砲であり、単独での運用が難しい中でもその存在は無視できないものでした。数々の実戦試験や試運転を経て、移動式の大口径火器として、その特異な運用方法により、日本軍の防衛に寄与することとなったのです。

もう一度検索