九七式自動砲

九七式自動砲

九七式自動砲（きゅうななしきじどうほう）は、大日本帝国陸軍の対戦車ライフルとして1930年代中期に開発された火器です。この自動砲は、特に軽量であることを重視し、歩兵部隊が対戦車戦闘を行うために設計されました。

概要

本砲の開発は1935年から始まり、当初は手動式の十三粍（13mm）銃が試作されましたが、その威力不足から後の開発は中止されました。代わりに、1947年に日本の技術者が設計した二十粍（20mm）自動砲の開発が行われました。1937年に研究方針が変更され、九七式自動砲として正式に審査が開始されました。開発にはスイスのゾロターン S-18/100|ゾロターン S-18_100が参考にされたとされています。

1938年2月にはほぼ開発が完了し、同年10月には仮制式の制定が上申されました。しかし、砲の重量が当初の想定を上回り、正式な制式化は見送られました。それでも、一部の歩兵大隊の機関銃中隊に装備されることになり、同年中に生産が開始されました。

弾薬と性能

九七式自動砲は、弾薬の装填と排莢が自動的に行われる半自動式です。貫徹能力についてはさまざまな見解がありますが、射程220mで30mm、420mで25mm、700mで20mmの鋼板を貫通できるとされます。さらに、歩兵砲の一種として、榴弾も用意されており、トーチカの銃眼などの攻撃役割も果たしました。

主要な弾薬として、九七式曳光徹甲弾や九八式曳光榴弾が存在し、それぞれ異なる目標を想定して設計されています。特に九七式曳光徹甲弾は被装甲目標射撃用であり、弾頭には曳光剤が含まれていました。

生産と配備

1938年10月、九七式自動砲は正式名称として制定上申され、陸軍技術本部では小倉陸軍造兵廠での生産が開始されました。生産数は限られ、1939年度には50門、1940年度には250門、1941年度には450門が製造されましたが、貫徹能力の問題から1941年以降、生産が中断されました。最終的には合計約1,200門が生産され、その多くは満州や南方での戦闘に投入されました。

実戦での展開

九七式自動砲は1939年のノモンハン事件で使用され、その威力が示されました。特に装甲車に対する効果は顕著であり、敵にとって脅威となりました。第二次世界大戦の後期になると、連合軍の戦車の装甲が強化され、九七式自動砲の威力不足が目立つようになりましたが、軽装甲の装甲兵員輸送車や土地の陣地に対しては依然として有効でした。

また、本砲は一部で全自動式に改造され、対空火器としても使用されました。こうした役割の転換は一時的ではありますが、当時の現場の要求に応える形で行われました。

まとめ

九七式自動砲は、対戦車戦闘において大日本帝国陸軍が採用した重要な火器でした。その後の戦闘において一時的な威力を発揮しましたが、戦局の変化と共にその戦力の特性は変わっていきました。高評価を受けつつも、相対的な限界を見せていったことは、歴史的な武器の教訓の一つといえます。

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