九七式輸送機

九七式輸送機について

九七式輸送機は、大日本帝国陸軍が運用していた国産の輸送機です。この航空機は、試作番号キ34として開発が始まり、連合軍からはThora（ソーラ）というコードネームで呼ばれました。それまでには存在しなかった形で、特に輸送任務に特化した設計がなされており、その特徴的な性能は当時の軍需において重要な役割を果たしました。

開発の歴史

九七式輸送機の設計は、1936年に中島飛行機が完成させたAT-2という旅客機を基にしています。このAT-2は、当時の技術水準としては優れた性能を持っていました。陸軍はこの機種に目をつけ、1937年4月に軍用輸送機としての改修を依頼しました。改修を進めた成果として、同年11月には審査が完了し、正式に九七式輸送機として採用されました。

構造と特徴

九七式輸送機は、元のAT-2とほぼ同じ形状を保ちながら、軍用化に伴い安定性や操縦性の向上のための改良が施されています。生産の後期には、エンジンのカウリング形状が変更されるとともに、信頼性が課題とされていたハ24エンジンがハ1乙エンジンに交換されることで、さらなる性能向上が図られました。

生産と運用

初期の生産は中島飛行機に集中していましたが、1940年には海軍の他の輸送機にリソースを移行するために生産を終了。その後は、立川飛行機に生産の移管が行われました。この結果、総生産数318機の内、中島で生産されたのは19機のみでした。立川での生産も1942年には終焉を迎え、次第に後継機への移行が進みました。

しかし、九七式輸送機は戦後も後方での人員輸送や連絡任務に利用され、終戦時まで現役を維持しました。また、海軍においても少数が輸送専用機として使用されました。さらには、空挺部隊では落下傘降下訓練用として活用され、1942年に公開された映画『空の神兵』や、1944年の『加藤隼戦闘隊』にも登場しています。

諸元

九七式輸送機の主な諸元は以下の通りです：

• - 全長：15.30 m
• - 全幅：19.92 m
• - 全高：4.15 m
• - 翼面積：49.20 m²
• - 自重：3,500 kg
• - 全備重量：5,250 kg
• - エンジン：ハ1乙　空冷9気筒　650馬力×2
• - 最大速度：365 km/h
• - 航続距離：1,270 km
• - 乗員：3名
• - 乗客：8名

このように、九七式輸送機は単なる戦時の輸送機だけにとどまらず、この時代の航空機設計の重要な一例として記憶されています。

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