九七式重爆撃機

九七式重爆撃機の歴史と特徴

九七式重爆撃機（きゅうななしきじゅうばくげきき）は、大日本帝国陸軍の重爆撃機であり、その試作名称はキ21です。この機体は、略称として九七式重爆、九七重爆とも呼ばれ、連合軍によるコードネームは「サリー」とされています。開発を担当したのは三菱重工業であり、製造も三菱および中島飛行機が行いました。1937年に正式に制式採用されて以来、日中戦争後期、ノモンハン事件、太平洋戦争初期において、帝国陸軍の主力重爆撃機として大いに活躍しました。

開発の背景

九七式重爆撃機は、1935年に陸軍が新型の重爆撃機を内示したことに始まります。これに応じて、1936年の2月に中島飛行機にキ19、三菱重工業にキ21の試作が指示されました。要求された性能には、双発単葉機、最高速度400km/h以上、航続時間5時間以上、最大爆弾搭載量750kg（最大1,000kg）が含まれていました。最初の試作機は1936年10月には完成しましたが、陸軍の審査では中島のキ19と共に良好な評価を受け、最終的に三菱のキ21が採用される運びとなりました。この際に、搭載するエンジンは中島製のハ5に決定されました。

性能と設計思想

九七式重爆撃機は、整備された供給体制のもと、1937年には制式採用されました。当初、日中戦争の際に十分な配備がなされなかったものの、後にその速度性能を活かし、様々な戦闘に参加しました。特に、航空撃滅戦を重視した陸軍の戦略に基づき、飛行機の高速性が重要視されていました。この思想は、敵戦闘機の逃避を確保し、爆撃の効率を上げるためのものであり、爆弾搭載量は反復攻撃を行うことで補う形が取られました。

九七式重爆撃機は、開発当初から当時の爆撃機と比較して非常に高速であり、特に太平洋戦争においての実戦でその性能を発揮しました。速度は戦闘機と比較しても遜色なく、他国の爆撃機と比較しても優れたものでした。しかし、同時に航続距離や搭載量に関してはいくつかの課題を抱えており、太平洋戦線での実戦では不十分とされることもありました。

実戦投入と評価

九七式重爆撃機は、実戦において高評価を受け、支那事変やその後のノモンハン事件、さらには太平洋戦争の緒戦でも主力として使用されました。特に1941年12月8日、フィリピンのルソン島バギオへの爆撃には17機が投入され、すべてが無事帰還するという戦果を上げています。後に、諸地域での作戦展開にも使用されることとなり、夜間爆撃や後方支援など多岐にわたる任務で活躍しました。

その後の改良と生産

九七式重爆撃機は、旧式化に伴い1944年にはサイズや性能の向上を目指して改良型が製造されました。特に二型機ではエンジンの強化や武装の改良が行われ、標準型から比較してより高い性能を持つようになりました。生産は1944年9月まで続き、最終的には2,055機が量産されることとなります。これは、帝国陸軍が運用した重爆撃機の中で最多の生産数となりました。

総括

九七式重爆撃機は日本初の本格的として成功を収めた重爆撃機であり、後の一〇〇式重爆撃機への架け橋となった機体です。実戦での成功と技術革新が組み合わさったことで、その成果は後世にも大きな影響を与えました。また、様々な改良を経ながら運用され続けた歴史は、帝国陸軍の航空機開発の重要な一章を形成しています。

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