九三式単発軽爆撃機

九三式単発軽爆撃機の概要

九三式単発軽爆撃機とは、日本陸軍が第二次世界大戦前に採用した爆撃機で、計画番号はキ3にあたります。この機体は川崎造船所飛行機工場（後の川崎航空機工業）によって設計・製造されました。同じ年に採用された三菱製の九三式双発軽爆撃機（キ2）との差別化のため、単発軽爆撃機として知られています。

開発の経緯

日本陸軍は、昭和7年（1932年）に川崎に対して軽爆撃機の試作を指示しました。これに基づき、ドイツ人技師リヒャルト・フォークトが川崎での開発を指導し、土井武夫技師が主に設計を担当しました。彼らはフォークトが以前に設計した高速連絡偵察機KDA-6を基に、昭和8年に試作第1号機であるKDA-7を完成させました。

KDA-7は、水冷エンジンを搭載した複葉単発機で、機体の構造は九二式戦闘機に類似していました。試験を経て、九三式双発軽爆撃機と同時に制式採用されることとなりましたが、その性能には次第に問題が浮上しました。特にエンジンに関して、過給器の故障が頻発し、部隊からの評判は芳しくありませんでした。

運用と生産

昭和9年1月からこの機体の量産が始まり、主に中国大陸に配備されて爆撃や偵察任務に従事しました。しかし、エンジンのトラブルが続出し、整備に多くの手間がかかるため、運用できる機体の稼働率は低迷しました。そのため、1940年3月に生産が打ち切られることとなりました。最終的には、川崎の他に石川島飛行機でも約243機が生産されました。

諸元

九三式単発軽爆撃機の詳細なスペックは以下の通りです。

• - 全長: 10.00 m
• - 全幅: 13.00 m
• - 全高: 3.00 m
• - 主翼面積: 38.0 m²
• - 自重: 1,650 kg
• - 全備重量: 3,100 kg
• - エンジン: BMW-9II（ベ式700馬力発動機）、水冷V型12気筒エンジン、出力は700hp×1
• - 最大速度: 260 km/h
• - 実用上昇限度: 7,000 m
• - 乗員: 2名
• - 武装: 7.7 mm機銃×2～3、最大500 kgの爆弾

まとめ

九三式単発軽爆撃機は、一時的に運用されるものの、エンジンの信頼性に欠けていたことから部隊からの評価はあまり高くなかったことが影響し、「一発屋」としての運命を辿ったことは記憶に残る航空機の一つです。

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