九三式双発軽爆撃機

九三式双発軽爆撃機について

九三式双発軽爆撃機（きゅうさんしきそうはつけいばくげきき）は、1930年代中期に大日本帝国陸軍のために設計された爆撃機です。試作名称はキ2で、略称として九三式双発軽爆や九三双軽とも呼ばれています。連合軍では「Louise（ルイーズ）」というコードネームが付けられました。この機体は三菱重工業によって開発・製造されました。

開発経緯

1930年8月、三菱重工業はドイツからユンカースK37を1機輸入し、翌年には試験飛行を行いました。この試験では武装なしの軽荷重状態で飛行し、その機体の運動性が注目されました。この時期、陸軍は満州事変に伴い寄付金を集め、満州での航空支援を目的にK37とドルニエメルクールをそれぞれ1機購入しました。

さらなる試作が進む中、1933年5月には試作機の1号機が完成し、最大速度255km/hを記録しましたが、その後の事故で機体を失いました。その後、試作第2号機で続けられた飛行審査により、1933年11月には正式に九三式双発軽爆撃機として採用されました。

設計特性

九三式双発軽爆撃機はK37を基にした全金属製の低翼単葉機として設計されました。主脚は固定式、エンジンは中島飛行機でライセンス生産されたイギリス製のブリストルジュピターエンジンを搭載しています。また、風防や銃座は開放式であり、性能向上のための各種改良が施されています。

運用状況

生産された機体は主に支那事変や満州向けで運用され、九三式単軽爆撃機と編成された爆撃小隊での運用が中心でした。このような編制は、操作上の柔軟性がありましたが、整備面では課題も抱えていました。

九三式双発軽爆撃機の運動性と高い稼働率により、当時の現場では高い評価を受けていましたが、その性能は他国機に対して見劣りしていました。1936年にはエンジンの強化や機体の改良が施された型（九三式双発軽爆撃機二型）が登場しましたが、これもまた生産数は限られていました。総生産機数は174機に達し、おもに練習機として利用され続けました。

民間利用

九三式双発軽爆撃機二型の改良版として、鵬型長距離連絡機も製造されました。これは銃座の撤去や燃料タンク、座席の追加などの改造を施されたもので、朝日新聞社により「南進号」と名付けられ長距離通信機として運用されました。この機体は、9時間10分で羽田と新京を結ぶなど、多くの長距離フライト記録を樹立しました。

諸元

九三式双発軽爆撃機一型（キ2-I）と二型（キ2-II）、ならびに鵬型の基本性能は以下の通りです。

一型（キ2-I）

• - 全長：12.60 m
• - 最大速度：255 km/h
• - 航続距離：900 km
• - 乗員：3名
• - 武装：7.7mm八九式旋回機関銃×2、爆弾最大500kg

二型（キ2-II）

• - 全長：12.70 m
• - 最大速度：283 km/h
• - 乗員：3名
• - 武装：同上

鵬型

• - 全長：12.41 m
• - 最大速度：283 km/h
• - 航続距離：3,000 km
• - 乗員：3 - 5名

まとめ

九三式双発軽爆撃機は、戦時中の日本陸軍のニーズに応えるべく開発されましたが、その後の航空機技術の進展に伴い、他の新しい機体に置き換えられていきました。しかし、その存在は歴史的にも重要であり、多くの飛行記録を残しています。

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