九九式八糎高射砲

九九式八糎高射砲の概要

九九式八糎高射砲（きゅうきゅうしきはっせんちこうしゃほう）は、1941年に日本陸軍によって準制式の高射砲として採用されました。この砲は、中高度から高高度を飛行するB-29爆撃機などの目標を撃墜できる性能を持っています。

開発の背景

その開発の歴史は1937年に遡ります。この年、日本陸軍は南京郊外の江陰砲台でドイツ製の8.8 cm SK C/30を鹵獲し、これを基に克式八糎高射砲を運用していました。この砲の性能が好評であったため、1938年からは国産化の検討が始まりました。最終的に、照準具以外は原型を踏襲する形で1939年に3門の国産砲が完成しました。最初の進行はクルップへの無断であったものの、1940年に日独伊三国軍事同盟が結ばれると、適切にライセンス料が支払われました。

その後、実戦での使用を視野に入れた試験が行われ、1941年には陸軍防空学校での評価を経て、九九式八糎高射砲は正式に準制式として制定されました。

構造的改良

国産モデルは、初期試作段階では二重構造の焼嵌式砲身を持っていましたが、量産段階で自己緊縮式の単肉砲身に変更されました。この変更により、製造は容易になり、また生産量も増えることとなりました。また、照準具も旧式のものから国産のものに切り替えられ、操作性が向上しました。

製造コストと重さを考慮し、初期に装備されていた大型の防楯は後に撤去され、これにより砲車の重量は約5000kgへと軽量化が図られました。この砲は「野戦高射砲」とは異なり、主に固定された陣地で運用されることを意図しており、特別な野戦用の設備は開発されませんでした。迅速な陣地変更が難しい点が、この砲の運用上の制限となりました。

生産と運用

九九式八糎高射砲は、構造がシンプルで製作に高度な技術を必要としなかったため、準制式として1942年から1945年の間に500門以上、場合によっては1000門近くが生産されました。この数は、八八式七糎半野戦高射砲に次ぐものであり、本土防空戦では主力の高射砲部隊として広く運用されました。

貫徹能力

装甲貫徹能力については使用された弾種や実施時期によって異なります。陸上自衛隊幹部学校による資料では、九九式八糎高射砲の徹甲弾は射距離500mで120mmの鋼板を貫通できる能力を持つとされています。これにより、敵の装甲兵器に対して有効な火力を発揮することができました。

参考文献

• - 竹内昭・佐山二郎共著『日本の大砲』出版共同社
• - アジア歴史資料センター『九九式八糎高射砲取扱指導ニ関スル説明書』
• - 佐山二郎『日本陸軍の火砲　高射砲』ISBN 978-4-7698-2660-6
• - 白井明雄『日本陸軍「戦訓」の研究』

関連項目

• - 大日本帝国陸軍兵器一覧
• - 対空砲
• - 高射砲

九九式八糎高射砲は、日本の防空戦において重要な役割を果たし、その設計と運用の歴史は日本陸軍における重要な技術の一環を示すものとなっています。

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