九九式小迫撃砲とは？意味をやさしく解説

九九式小迫撃砲の概要

九九式小迫撃砲は、大日本帝国陸軍において正式に採用された迫撃砲の一つです。この火砲は主に歩兵用の突撃兵器として、及び空挺部隊の持ち運び用として設計されました。従来の迫撃砲よりもコンパクトで軽量なため、機動性に優れ、戦場での運用が容易である点が特徴です。

この迫撃砲は、直接照準が可能であり、九七式曲射歩兵砲と共通の有翼砲弾、具体的には一〇〇式榴弾を発射することができます。発射方式は墜発式ではなく、八九式重擲弾筒に類似した前装撃発式です。発射時には、砲弾を砲口から砲身に装填する必要がありますが、単に落とし込むだけでは発射されず、装填状態となります。

砲手は、砲身の後部に配置されたピンを木槌などの器具で叩くことによって発射を行います。この発射方法は、操作が簡便であり、迅速に砲撃を行うことが可能です。二名の隊員で運ぶことができ、使用しない時は床板と砲身、脚の部分に分解することができるため、持ち運びに便利です。

大阪造兵廠第一製造所による調査によれば、昭和17年10月時点で九九式小迫撃砲は598門が製造されていたことが報告されています。この数は、小迫撃砲の需要とその運用の可能性を示すものであり、陸軍の火器として重要な役割を果たしていたことがわかります。

九九式小迫撃砲は、特定の戦術的な運用を目的としており、偏向射撃や急速な反撃に適しています。特に空挺部隊においては、収納箱に入れて簡単に輸送できるため、戦略的に非常に効果的です。こうした設計は、陸上戦だけでなく空中戦力との連携を可能にし、敵に対する圧力を高めるために貢献しました。

この砲についての詳細な情報は、佐山二郎の著書『日本陸軍の火砲　迫撃砲・噴進砲　他』や『大砲入門』に記載されています。これらの文献は、陸軍の火器の性能や特性を深く理解するために有効な資料です。日本陸軍兵器の全貌を知る上でも、非常に貴重な情報源となっています。