九四式九〇〇馬力発動機

九四式九〇〇馬力発動機の概要

九四式九〇〇馬力発動機は、主に海軍広工廠によって製造された液冷W型レシプロエンジンです。このエンジンは、日本国内における水冷W型発動機の集大成とも言える存在であり、1932年に制定された三ヵ年の試製計画の一環として開発が始まりました。

開発の背景

日本海軍は、海外からの技術依存から抜け出すことを狙い、1928年から独自の技術を基にこの発動機の開発に取り組みました。試作段階での名称は「九〇式八〇〇馬力発動機」とされていましたが、実際の出力は最大900馬力にまで達しています。この発動機は当時、日本の航空機用エンジンとしては非常に大型であり、陸海軍を通じて最多の出力を誇るものでした。

開発過程

試作機は1930年に完成し、その年の9月には最初の50時間耐久運転が実施されました。この際、クランク室やウォータージャケットに亀裂が発見され、いくつかの改良が必要となりました。その後の実験で、1934年の4月には300時間耐久試験が行われ、合計10に分けた30時間ごとの運転では第5期における中間軸のボールベアリング交換や、第8期でのピストン交換などのメンテナンスが行われますが、全体の運転は順調に進行しました。これらのテストを経て、同年の7月には正式に九四式九〇〇馬力発動機として採用される運びとなりました。

性能向上と使用

制式採用直後から、この発動機のさらなる性能向上を図るために、過給機を装備した改良型の試験も始まりました。自然吸気式の一型と過給機装備型の二型が開発され、それぞれの出力は公称が1000馬力に、離昇時の馬力は1200馬力に達することができました。しかし、実際には、九五式大攻撃機に搭載されたものの、数が限られてしまった影響と他機への搭載が進まなかったため、その利用は限定的でした。

今後の応用

その後、日本海軍による新型魚雷艇の開発において、適当な液冷発動機が不足したことから、九四式発動機が流用されることになりました。このように、本発動機は航空機用だけでなく、船舶用としての役割も担っていくこととなります。

主要諸元

• - タイプ: 液冷W型18気筒
• - 筒径×行程: 145 mm × 160 mm
• - 排気量: 47.5 L
• - 燃料供給方式: 気化器式
• - 離昇馬力: 1,180 hp
• - 公称馬力: 900 hp

搭載機

• - 九五式陸上攻撃機

九四式九〇〇馬力発動機は、様々な観点から日本の航空技術に革新をもたらした重要なエンジンであったといえます。

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