九五式陸上攻撃機

九五式陸上攻撃機について

九五式陸上攻撃機（きゅうごしきりくじょうこうげきき）は、大日本帝国海軍によって開発された陸上攻撃機であり、その設計と製造は広海軍工廠により行われました。この機体は、当時日本海軍が保有する最大の航空機であったものの、性能の向上が難しいとされ、後続機の九六式[[陸上攻撃機]]が優れた性能を示すことが期待されていました。そのため、九五式陸上攻撃機の生産はごく少数にとどまりました。略符号はG2H1です。

開発の背景

1930年代初頭、日本海軍はロンドン軍縮会議による艦艇の保有制限を受け、新しい兵器の開発を迫られました。この新たな兵器として、長距離攻撃機の研究が命じられ、1932年春に松山茂少将の指導のもと、航空本部技術部の和田操大佐が動き出しました。和田は、大型の陸上攻撃機を試作することが必要だとの意見を提出し、航空本部の決定を経て、開発プロジェクトが開始されました。

和田は、設計を広海軍工廠の設計主任である岡村純造兵少佐に依頼しました。岡村は初めはこの依頼を断りましたが、和田による説得の後、七試特殊攻撃機として開発が開始されました。1933年3月には一号機が完成しましたが、その後急旋回時の尾翼のフラッター問題が発覚し、開発は問題を抱えることとなります。

航空本部は七試特殊攻撃機の開発中に、のちの九六式陸攻の原型となる八試特殊偵察機を三菱内燃機に命じていたため、七試特殊攻撃機は耐久性や性能に関して厳しい評価を受け「失敗作」とされることもありました。1936年5月に、ようやく九五式陸上攻撃機として制式採用が決定されました。

運用とその影響

九五式陸上攻撃機は、1936年9月に北海事件と漢口邦人巡査射殺事件が発生した際、第十一航空隊の一部として実戦運用が始まりました。その際、飛行中に墜落事故を起こす機体もあり、多くの乗員が亡くなる悲劇もありました。事件の解決に向けた外交交渉が進むと、部隊は帰還しました。

その後、支那事変が勃発すると、1937年9月30日に九五式陸上攻撃機は済州島へ進出し、陸戦支援を行うことになります。しかし、この戦闘中の10月24日、発動用のガレリーから火災が発生し、大規模な事故が発生、5機が失われる結果となりました。この事故では1名の乗員が死亡しましたが、事故に巻き込まれなかった機体は、その後も出撃を続けました。

11月11日からは再び出撃が行われ、最終的には九五式陸上攻撃機は125機以上を出撃させ、145トン以上の爆弾を投下しました。1942年12月には、九五式陸上攻撃機の戦闘参加が終了し、その運用は一区切りを迎えました。

スペック

以下に九五式陸上攻撃機の基本スペックを示します。

• - 全長: 20.15m
• - 全幅: 31.68m
• - 全備重量: 11,000 kg
• - エンジン: 広廠94式1型 液冷W型18気筒 1,180hp×2
• - 最大速度: 244km/h
• - 巡航速度: 167km/h（90kt）
• - 航続距離: 2,883km
• - 武装: 7.7mm機銃×4、爆弾（250kg×6または400kg×4）
• - 乗員: 7名
• - 生産数: 8機（広廠6機、三菱2機）

九五式陸上攻撃機は、技術的な制約と運用実績の面から見ても、大日本帝国海軍の航空戦力の一翼を担った重要な機体でした。

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