九州管区警察学校

九州管区警察学校

九州管区警察学校（きゅうしゅうかんくけいさつがっこう）は、広大な九州地方の警察活動を統括する九州管区警察局の付属機関として、福岡県福岡市博多区板付に設置されています。この学校は、警察大学校に準ずる機関として位置づけられており、九州管区内各県の警察本部に勤務する警察官や、九州管区警察局に所属する職員に対し、警察幹部としての必要な資質や専門的な知識・技能を修得させるための重要な役割を担っています。具体的には、警察実務における専門性の向上、運用に関する教育、さらには警察活動に関連する研究や調査を主要な任務として遂行しています。

沿革

九州管区警察学校の歴史は、戦後の警察組織再編期にさかのぼります。その源流は、1947年（昭和22年）5月に開設された福岡地方警察学校にあります。翌年1948年（昭和23年）3月には、組織改編に伴い福岡管区警察学校へと名称が変更され、この時に本科と高等部の二部制が導入されました。さらに1949年（昭和24年）9月には高等部が開校し、教育体制が拡充されます。

1952年（昭和27年）4月には普通部が設置され、改めて二部制（本科、現任幹部科）の体制が整えられました。そして、1954年（昭和29年）7月には、現在の名称である九州管区警察学校へと改称され、九州地方全域を管轄する広域的な警察学校としての位置づけが確立されます。

その後も、時代の要請や警察制度の変化に応じて組織や教育課程の改編が進められました。1966年（昭和41年）4月には、高等部と普通部がそれぞれ教務部と指導部に改組され、より組織的な教育運営体制が構築されました。1975年（昭和50年）4月には、幹部育成課程の名称が見直され、高等部は中級幹部科に、本科は初級幹部科に改称されました。

組織面では、1986年（昭和61年）4月に学校運営を支える庶務部が設置されました。また、警察官だけでなく一般職員の育成にも力が入れられ、1988年（昭和63年）7月には一般職員幹部科が、1990年（平成2年）7月には一般職員中堅職員科がそれぞれ開設されました。

1993年（平成5年）4月には、教育課程の名称がより具体的に、対象となる階級・役職を示す形へと変更されます。中級幹部科は警部補任用科に、初級幹部科は巡査部長任用科に、一般職員幹部科は係長任用科に、一般職員中堅職員科は主任任用科にそれぞれ改称されました。さらに、2001年（平成13年）4月には、より上級の幹部を育成するため、警部任用科が開設され、今日に至る教育体制の基盤が完成しました。

組織

九州管区警察学校の内部組織は、学校運営を円滑に進めるための複数の部署から構成されています。

庶務部: 学校の総務、人事、会計などを担当し、円滑な学校運営を支える部署です。庶務課と会計課が置かれています。
教務部: 主に座学や理論的な教育課程を担当する部署です。教務科のほか、生活安全・刑事に関する専門教育を行う生活安全刑事教官室、交通・警備に関する専門教育を行う交通警備教官室が置かれ、多様な分野の知識を教授しています。
指導部: 学生の生活指導や実技訓練などを担当する部署です。学生科が学生の生活全般をサポートし、警務術科教官室が逮捕術、柔道・剣道、射撃などの実技指導を行います。

教養課程

九州管区警察学校では、その主要任務である警察官・職員の育成のため、多岐にわたる教養課程が設けられています。主な課程は以下の通りです。

任用科: 各階級や職位に昇任した警察官・職員を対象とした課程です。警部補任用科、巡査部長任用科、係長任用科、主任任用科があり、それぞれの役職に求められる知識、技能、判断力の向上を目指します。
* 専科: 特定の専門分野に関する高度な知識や技術を修得するための課程です。専門性の高い捜査、鑑識、情報通信などの分野に特化した研修が行われます。

これらの課程を通じて、九州管区警察学校は、地域社会の安全・安心を担う質の高い警察官・職員を育成し、九州管区の警察力を強化する上で不可欠な役割を果たしています。また、学校は九州管区機動隊の活動とも連携し、実践的な訓練や共同研修なども行われています。

（出典: 九州管区警察学校公式ウェブサイト等を参照）

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