乾進丸 (1948年)

乾進丸について

乾進丸（けんしんまる）は、かつて乾汽船によって運行されていた貨物船です。この船は、元々日本海軍が計画していた未成敷設艦であり、仮称艦名第1822号艦として知られています。乾進丸はその名が示す通り、乾汽船の2代目貨物船でしたが、残念ながら初代も含めてどちらも沈没する運命にありました。

船歴

第二次世界大戦中、乾進丸は戦時標準船として計画され、1945年に海軍に買収されて敷設艦に設計変更されました。しかし、工事が始まる前に資材不足が発生し、計画は一時中断されてしまいます。戦後、この未成敷設艦は乾汽船に渡り、再び建造が始まります。1948年4月12日に進水し、6月7日に竣工を迎えました。

それから、乾進丸は樺太に向かう処女航海に出発します。しかし、航海の最中、悪天候に見舞われ、1948年10月4日に沈没してしまいます。この沈没事故を受けて、小樽では慰霊祭が行われました。特筆すべきは、乾進丸が海難で喪失した唯一の船であり、以降乾汽船は乾進丸という名の船舶を所有していない点です。

沈没事故の経過

乾進丸の悲劇的な沈没は、1948年8月30日に始まります。この日、樺太の北内幌でコーライトを積載するために小樽を出発しました。次の日、北内幌に到着し、荷役を行いますが、9月9日に天候が悪化し、荷役作業を中断せざるを得なくなります。

その後、悪化する天候により、乾進丸は座礁し浸水が始まりました。10月1日からは救助作業が始まるも、波の影響でコーライトの荷崩れや排水ポンプの故障が相次ぎます。ついには10月4日の夜、船体の傾斜による浸水が致命的となり、22時頃に乾進丸は沈没しました。

沈没の後、艦上の乗組員は必死に脱出を図りましたが、多くの人が行方不明となり、救助されたのは一部にとどまりました。最終的に、乾進丸の50名の乗員のうち28名が行方不明となり、二名が他の船にて救助されたものの、死体が発見される悲劇が続きました。

1949年8月31日、小樽地方海難審判庁での調査が行われ、乾進丸の艦長が天候の判断を誤ったことや、沈没時にaboatを放棄することを選ばなかった技師の判断が、事故の原因として指摘されました。

結論

乾進丸の歴史は、戦争の影響や自然の脅威がもたらす悲劇を物語っています。乾汽船の初代と二代目の乾進丸、両方が沈没したことは、業界においても大きな悲しみとして語り継がれています。乾進丸の航海は、現在においても海難防止に向けた教訓として伝えられています。

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