敷設艦

敷設艦について

敷設艦（ふせつかん）とは、水面上で各種の水中機器や海底ケーブルを設置するための特殊な艦艇です。一般的に、敷設艦はARC（Auxiliary Cable Repairing Ship）という艦種記号で識別されます。敷設艦には主に二つのタイプが存在し、電纜敷設艦と機雷敷設艦があります。これらはそれぞれ異なる目的を持って運用されています。

電纜敷設艦

電纜敷設艦は、固定ソナー局や通信ケーブルの敷設を行うために特化した艦艇です。この艦艇の最大の特徴は、船体の後部に設けられた巨大なケーブル敷設用ドラムであり、これにより高効率で大量のケーブルを海底に設置することが可能です。これらの艦艇は、主に基地間の専用通信ケーブルや海底ケーブルを設置する役割を担っています。民間では、海底ケーブル敷設船が類似の業務に従事しています。

機雷敷設艦

機雷敷設艦は、機雷を海底に正確に設置するための艦艇です。通常、艦尾には敷設軌条が装備されており、主に機雷の設置を目的としています。機雷敷設艦は、大規模な機雷の搭載が可能で、敷設精度が高いことが特徴です。さらに、機雷を敷設する際の衝撃が小さく、機雷の信頼性を高めています。しかし、航空機技術の発展に伴い、機動性が低いため、迅速な情勢変更への対応にはあまり適していないとされています。第二次世界大戦中、イギリス海軍が導入したアブディール級敷設巡洋艦は、36ノットの高速を発揮し、攻勢的な機雷敷設作戦に用いられました。

急設網艦

急設網艦は、防潜網や捕獲網を敷設するための艦艇で、自国の勢力圏内における港湾や水道において防御を強化する役割を果たしています。これらの艦艇は、基本的な設網設備に加え、機雷敷設や掃海、対潜戦闘の機能を兼ね備えていることが一般的です。日本海軍では、白鷹や初鷹、蒼鷹、若鷹など、多数の急設網艇が建造されました。なお、日本では急設網艦を機雷敷設艦の一種として分類していますが、他国では敷設艦と急設網艦を明確に区別する場合が多いです。

海上自衛隊の敷設艦・敷設艇

海上自衛隊の敷設艦および敷設艇は、その戦略的重要性から機密保持が特に求められています。これらの艦艇に関する情報は、海洋観測艦や音響測定艦と同様に公開されることはありません。

過去の艦艇情報

海上自衛隊にはかつて、次のような敷設艦および敷設艇が存在していました。

• - 敷設艦: ARC-481 つがる（退役）、ARC-482 むろと（退役）、ARC-483 むろと（2代）
• - 敷設艇: AMC-491 えりも（退役）
• - 機雷敷設艦: MMC-951 そうや（退役）

関連項目

* 機雷戦

これらの艦艇は、国の安全保障や戦略に重要な役割を果たしており、各種の水中作業を支えるための尖端技術を用いて日々運用されています。

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