亀井矩賢

亀井矩賢（かめい のりかた）

亀井矩賢は、江戸時代中期に石見津和野藩の第8代藩主を務めた人物です。津和野藩亀井家9代当主にあたります。

生涯

明和3年（1766年）6月、第7代藩主・亀井矩貞の長男として津和野に生まれました（宝暦11年（1761年）生まれという説もあります）。当初、父の養子となっていた茲休が早世したため、矩賢が世嗣となりました。天明3年（1783年）4月18日、父の隠居に伴い家督を継承し、藩主となりました。翌天明4年（1784年）12月には、従五位下・隠岐守に叙位・任官されています。

藩主就任時、津和野藩は天明の大飢饉や幕府からの公役などにより、深刻な財政難に陥っていました。この状況を打開するため、矩賢は財政整理や目安箱の設置などの改革を試みます。しかし、矩賢自身が父と同様に学問を好む藩主であったため、天明6年（1786年）には藩校・養老館を設立し、文学の発展に力を注ぎました。このため、財政再建は思うように進みませんでした。

しかし、矩賢の施策には優れた点もありました。寛政12年（1800年）には、藩士だけでなく庶民にも対象を広げ、医学を志す者には学資を貸与する制度を設けました。これは、現代でいうところの留学制度に相当する先進的な政策でした。この制度は、藩全体の医療水準の向上に貢献したと考えられます。

文政2年（1819年）5月16日、矩賢は弟で養子の茲尚に家督を譲り、隠居しました。そして、文政4年（1821年）2月24日、江戸で生涯を閉じました。享年56歳でした。

藩主としての評価

亀井矩賢は、財政難の克服には苦労したものの、藩校の設立や医学奨励策など、文化・教育面で大きな貢献をしました。また、身分に関わらず人材を育成しようとした姿勢は、当時の藩主としては先進的であったと言えるでしょう。藩主としての手腕は必ずしも成功したとは言えませんが、その功績は後世に語り継がれています。

関連事項

* 災害記念碑 - 松崎の碑（島根県益田市）：この碑は、天明の大飢饉の際に多くの犠牲者を出した松崎の惨状を後世に伝えるために建立されました。津和野藩も大きな被害を受けたため、この碑は当時の状況を物語る貴重な資料となっています。

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