養老館

養老館について

養老館（ようろうかん）は、江戸時代の津和野藩に設立された藩校です。1786年（天明6年）、藩主亀井矩賢によって森村の字下中島に設置されました。当初、儒学を中心とした教育が行われており、著名な儒学者の山口剛三郎や吉松儀一郎が教鞭を執りました。彼らの尽力により、養老館は次第に隆盛を極めることとなります。

拡張と移転

養老館は嘉永年間に、藩主亀井茲監の下で規模を拡張しました。新しい校舎は田村の殿町に建設され、武術教場と合わせて新築されました。明確な移転時期は記録によって異なりますが、藩の布令に基づき、嘉永2年4月には拡張の決定がされていたと思われます。また、古い記録からは大火と廃藩による混乱のため、設立当初の文書が失われたことが窺えます。

教育内容

養老館では、さまざまな科目が教えられていました。主な授業には、以下のようなものがあります。

• - 儒学: 教師には市川弁五郎（復斎）、山口顕藏、増野礼藏などが名を連ねました。
• - 和学: 岡熊臣、大国隆正、福羽美静などが担当しました。
• - 医学: 吉木蘭斎、室良悦らが教育を施しました。
• - 兵学、算法、弓術、馬術、剣術、槍術、砲術、柔術: 武道に関する科目も体系的に教育されました。

授業は定日に行われ、特に槍・剣に関しては毎日教場が開かれることもありました。試験は文芸と武術を問われ、藩主の臨場によって直接試験が行われることもありました。

学校行事と職名

養老館では、さまざまな祭儀が執り行われました。特に、釈尊釈莱の祭事が毎年行われており、教育と文化継承の場となっていました。

また、職名とその職掌も確立されており、家老は生徒の選別や賞罰を担当し、授業の監督を行いました。

• - 教授: 学問を教え子弟を導いた。
• - 助教: 教授を補佐し、藩の子弟を教導した。

教材と解説

教育に利用された教材としては、儒教の经典である『孝経』や『大覚』、『論語』などが挙げられ、文献の多様性が感じられます。生徒は無点本を基本に教科書を使用しました。評価基準が設けられ、金の交付等に基づいた試験は厳格に行われました。

現在の状況

現在でも、養老館の名残を伝える建物が残されています。特に武術教場は津和野町の民俗資料館として利用されています。養老館は島根県の重要な歴史的遺産であり、地元の教育や文化に影響を与え続けています。養老館の存在は、津和野の文化を担った教育機関にとどまらず、地域の伝統的な建造物群の一環としても重要な役割を果たしています。

以上のように、養老館は津和野藩の教育の中心として、多くの人々に影響を与え、その知識や武道を次世代へと継承してきた重要な文化的ランドマークです。

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