亀山章

亀山 章

亀山 章（かめやま あきら）氏は、1943年に東京都に生まれた、日本の生態環境保全および植物学を専門とする研究者、教育者です。特に造園学、景観生態学、地域計画学、環境・緑化工学、森林科学といった幅広い分野において、その学識と経験を活かし、多岐にわたる活動を展開してきました。

経歴

東京大学農学部農業生物学科を1968年に卒業後、厚生省国立公園局の技官としてキャリアをスタートさせました。その後、奈良県企画部での勤務を経て、1972年に信州大学農学部助手となり、教育・研究の道に進みます。信州大学では助教授、教授と昇進し、長年にわたり後進の指導にあたりました。この間には、後のスタジオジブリの宮崎吾郎氏や大阪芸術大学の若生謙二氏、環境省の塚本瑞天氏など、各界で活躍する多くの人材を育てています。1990年には岐阜大学大学院連合農学研究科の教授を兼任した後、1992年からは東京農工大学に移籍し、大学院および農学部で環境資源共生科学、自然環境保全学、地域生態システムなどの分野で教授を務めました。同大学においては名誉教授の称号を得ています。長年の功績が認められ、2024年には瑞宝中綬章を受章しています。

研究と社会活動

亀山氏の研究は、自然環境の保全と再生、そして人間活動との調和を目指す生態工学的アプローチを特徴としています。特に、都市や農村における緑地の機能評価、景観の保全と創出、絶滅危惧種の保護、自然再生技術の開発などに貢献してきました。

学術活動においては、日本造園学会や日本緑化工学会、農村計画学会といった主要な学会で理事や会長などの要職を歴任し、それぞれの分野の発展に尽力しました。特に日本緑化工学会では会長を務め、緑化工学の普及・発展に大きな役割を果たしています。

また、国や地方自治体の様々な委員会において中心的な役割を担いました。環境省や文部科学省、建設省、農林水産省などの専門委員、審議会委員として政策形成に関与したほか、東京都、長野県、府中市、あきる野市、相模原市など多くの自治体で環境審議会や景観審議会の会長などを務め、地域の環境計画や文化財保護に深く関わりました。文化財指定庭園保護協議会の会長や、旧前田家本邸、駒場公園の文化財保存に関わる委員も務め、歴史的・文化的景観の保全にも貢献しています。NPO法人東京セントラルパークやNPO法人地域自然情報ネットワークの理事長としても活動し、市民レベルでの自然保護や地域活性化にも積極的に取り組んでいます。現在も日本自然保護協会の理事長を務めるなど、その活動は多岐にわたります。

主な著作と受賞

亀山氏の学術的成果は多くの著書や編著としてまとめられており、研究者や実務家にとって重要な文献となっています。『生態工学』、『生物多様性緑化ハンドブック』、『自然再生の手引き』など、その著作は自然環境の保全・再生技術、生態系と人間活動の関係性など、現代社会が抱える環境問題への解決策を探る上で貴重な示唆を与えています。特に『冬芽でわかる落葉樹』のような一般向けの監修書もあり、植物への関心を高めることにも貢献しています。

長年にわたる研究、教育、社会への貢献は高く評価されており、多数の受賞歴があります。日本造園学会賞（複数回）や日本公園緑地協会北村賞、国立公園協会田村賞など、造園・緑地分野における主要な賞を受賞。さらに、日本緑化工学会賞技術賞やとうきゅう環境財団社会貢献学術賞など、幅広い視点からその功績が称えられています。2024年に受章した瑞宝中綬章は、その長年の教育研究および社会貢献に対する国家からの顕彰です。

亀山章氏は、生態環境保全と景観に関する深い専門知識と、それを社会に還元する幅広い実践活動を通じて、日本の自然保護および環境保全の進展に計り知れない貢献を果たしてきた人物です。

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