亀渕友香

亀渕友香: 日本のゴスペル界の先駆者

亀渕友香（かめぶち ゆか）は、1944年11月3日に北海道札幌市で生まれました。彼女の本名は亀渕捷子（かめぶち かつこ）で、後に日本の音楽シーンで大きな足跡を残すことになります。家族からの影響が深く、実兄はニッポン放送の名物DJであり、後に同社の社長や相談役をつとめた亀渕昭信です。また、彼女の叔母もジャズシンガーとして知られていました。

幼少期、亀渕は映画『真夏の夜のジャズ』でマヘリア・ジャクソンのパフォーマンスを目撃し、その歌声に深く感動しました。この経験が彼女の音楽人生の出発点となり、以降はサッチモやアレサ・フランクリンなど、さまざまなゴスペルミュージシャンから影響を受けました。日々、ブルースやジャズ、アフリカン音楽といった黒人音楽に親しみながら、音楽家としての感性を高めていきます。

彼女は東京声専音楽学校のオペラ科に通いながら、ミュージカルにも出演し、本格的な音楽活動をスタート。その後、1968年にR&Bグループ「リッキー&960ポンド」のボーカルとしてプロデビューを果たしました。1980年にはアメリカに渡り、音楽活動を休止しましたが、1987年に帰国後は再び音楽の道を歩むことになります。

帰国後、ジャズライブやミュージカル、映画音楽、テレビ出演など、多岐にわたる活動を展開しました。さらに、ボイストレーナーとしても数多くのミュージシャンを指導し、彼女の教えを受けたアーティストには杏里、久保田利伸、大黒摩季などがいます。

特に1993年には、自らのゴスペルコーラスグループ「亀渕友香&VOJA（The Voices of Japan）」を結成し、ゴスペル音楽を広める活動を積極的に行いました。このグループはライヴやコンサート、教育現場でのパフォーマンスなど、幅広い活動で注目を集めました。また、2008年には「第1回・野口英世アフリカ賞」の授賞式で、上皇明仁・上皇后美智子の前での演奏も果たしました。

2009年以降はソロライブ活動を再開し、ジャズスタンダードやアコースティックな編成で、多彩なパフォーマンスを展開します。また、1998年から2006年まで「VOJAコーラスアカデミー」の学長を務め、その後2007年には「VOJA Voice Art College」を立ち上げ、教育分野でも多大な影響を与えました。

2004年にはJ-POPグループ「DEEN」とのコラボレーション曲がヒットし、音楽界での存在感をさらに増しました。また、彼女のファースト・ソロ・アルバムも復刻され、再び世間の注目を集めることになります。

しかし、2014年頃から肝細胞がんを患い、闘病生活を送りながらも精力的に活動を続けました。2017年10月22日、神奈川県川崎市の病院にて肝細胞癌により他界。彼女の音楽は今も多くの人々の心に残り続けています。

亀渕友香の功績は、単なる音楽活動にとどまらず、彼女が指導した多くのミュージシャンや、音楽教育への貢献によって今日の日本の音楽界に影響を与えています。彼女の多彩なキャリアと彼女が生んだ音楽は、後世に受け継がれていくことでしょう。

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