予備選挙

予備選挙とは

予備選挙（よびせんきょ）とは、正式な選挙（本選挙）を前に、候補者を絞り込むために行われる選挙のことです。このプロセスは、候補者選定を党の有力者だけでなく、一般の有権者が参加する形で行うことで、より人気のある候補者を選出する機会を提供します。しかし、予備選挙にはいくつかのデメリットもあります。

概要

一般的に、予備選挙を導入することで情実を排除し、より支持を受けやすい候補者が選ばれますが、投票を行う有権者の多くが熱心な活動家であることから、中間層の意見が薄れる可能性があります。また、予備選挙は選挙管理や候補者陣営に多くの資金を要し、経済的負担が増えることも懸念されます。

さらに、予備選挙中の選挙運動やメディアの注目は、本選挙に向けたPRとして利用される一方で、選挙戦が過熱した結果、ネガティブキャンペーンが行われることや、候補者間で分裂が生じるリスクも存在します。

アメリカ合衆国における予備選挙

アメリカ合衆国では、大統領選挙や連邦議会議員選挙に先立って、州ごとに行われる予備選挙が実施されます。この予備選挙は、州政府による公営選挙の形で行われ、秘密投票が行われる場合や、党員集会として公開投票が行われる場合があります。どちらの形式も「予備選挙」と呼ばれ、具体的な投票方法は州によって異なります。

有権者は、事前に登録した党の候補者にのみ投票できる州と、異なる政党の候補者に自由に投票できる州が存在します。多くの州では二大政党の予備選挙が同じ日に実施されますが、全ての州の投票日は異なるため、場合によっては早期に党の公認候補が決まってしまうことがあるため注意が必要です。正式には、各州において選ばれた党代表が党大会で推薦候補に票を投じ、最多の指名票を得た候補者が党公認の大統領候補となります。

特に大統領選挙においては、二大政党以外からの立候補者が困難な州も多く、現職者も再選を狙うためには予備選挙で勝利が必要です。そのため、過去には現職者が予備選挙で敗北して再選を断念する事例もあります。例えば、2021年に起きたアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件に関連して、トランプ元大統領が支持する候補者が現職の共和党議員に挑戦し、その結果、多くの現職者が敗退するという予備選挙の影響が見られました。

イギリスの予備選挙

イギリスの保守党では、党首が欠けた際に行う党首選挙において、まず20名以上の党所属下院議員から推薦を受けた候補者が3名以上出た場合、党所属下院議員による投票で候補者を2名に絞ります。このプロセスは「Stage 1」と呼ばれていますが、予備選挙に似た役割を果たします。Stage 1で選ばれた候補者は、「Stage 2」に進み、一般党員による投票で新しい党首が選ばれます。

日本における予備選挙

日本の自由民主党では、総裁選挙で過去に予備選挙が導入されたことがあります。1978年と1982年の例では、派閥の影響を排除し、党員・党友の意見を取り入れることを目的としていました。しかし、選挙戦は派閥中心の激しい競争となり、予備選挙での結果が本選挙の結果に直結することが多く、実質的には選挙戦を簡素化することができませんでした。

おわりに

このように、予備選挙は国によって異なる形で実施され、各国の政党システムや文化に応じて機能しています。候補者選定の透明性を高めたり、有権者の声を反映させたりする場ではありますが、予備選挙特有の課題も理解しておく必要があります。

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