二ノ丸遺跡

二ノ丸遺跡の概要

二ノ丸遺跡は神奈川県横浜市都筑区に位置し、調査当時は緑区池辺町と呼ばれていました。この遺跡は、旧石器時代の生活の痕跡や、縄文時代中期（約5500年前から4400年前）に築かれた環状集落、さらに古墳時代後期の集落など、数千年にわたる人間の活動の証拠を含む複合的な遺跡として知られています。特に、港北ニュータウンの開発に伴う埋蔵文化財調査の結果、多様な遺構が発見され、その重要性が確認されました。

遺跡の発掘と調査内容

この遺跡の発掘調査は1965年から始まり、1977年から1979年にかけて本格的に行われました。この調査は、住宅街の造成に先立ち、埋蔵文化財を守るために実施されたものです。発掘により、旧石器時代の石器が4ヶ所、炭化物の証拠が3か所、さらに縄文時代中期の竪穴建物が107軒、掘立柱建物が4棟、土坑（貯蔵穴や墓壙）がそれぞれ45基と44基見つかりました。また、集石や埋甕も数多く発見され、古墳時代後期には竪穴建物が9軒確認されています。

縄文時代中期の環状集落

特筆すべきは、縄文時代中期の遺構です。この時期の集落は、中央広場に土坑墓群を中心に構成され、掘立柱建物群と竪穴建物群が同心円状に並んでいる点が特色です。二ノ丸遺跡は、その北西に位置する三の丸遺跡と並び、縄文中期における重要な集落の一つとして位置づけられています。この集落は中期後半を主体として存続していたとされており、後期初頭の称名寺式期まで続いていた可能性も示唆されています。

古墳時代後期の集落

また、古墳時代後期に関しては、鶴見川の支流・大熊川谷奥にあたる地域において、当時の集落跡としてこれまでに知られているものの中で最もまとまった規模の遺構が確認されました。この発見は、古墳時代の人々の生活様式や社会構造を理解する上で重要な資料となっています。

遺跡の現状と文化財保護

残念ながら、発掘調査後には全域が住宅街として造成され、遺跡自体は破壊されてしまいました。しかし、二ノ丸遺跡の調査や発見は、神奈川県内の考古学の発展に寄与しており、今後の研究や文化財保護の重要性について再認識されるべきです。

参考文献と関連研究

次に、二ノ丸遺跡に関するより深い理解を得るには、関連する文献に目を通すことが推奨されます。横浜市埋蔵文化財センターの『全遺跡調査概要』や、石井寛の『華蔵台遺跡』などがその例です。これらの文献には、遺跡の発掘経過や調査結果が詳述されており、考古学者や学生にとっても貴重な資料となっています。

このように二ノ丸遺跡は、旧石器時代から古墳時代にかけての人類の生活や文化を知る上で欠かせない存在であり、今後もさらなる研究が期待されます。

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