二俣事件

二俣事件の詳細

背景

二俣事件は、1950年1月6日に静岡県磐田郡二俣町（現在の浜松市天竜区）で発生した一家4人の殺害事件です。この事件では、就寝中の父親、母親、長女、次女が残虐に殺されました。父母は鋭利な刃物で刺傷され、長女は絞殺、次女は母親の下で窒息死するという痛ましい状況でした。事件の発生時刻とされる11時2分に、被害者宅の時計が破損し、血痕が付いた指紋が発見されるなど、状況証拠が散見されました。しかし、実際の証拠に基づく捜査は行われず、別の犯罪歴を持つ18歳の少年が逮捕されます。

捜査の流れ

1950年2月23日、警察は近隣に住む少年を犯人とみなして逮捕しました。少年は最初、母親が受け取った青少年による窃盗の疑いで拘束され、その後、拷問や自白の強要を受けました。警察は少年から虚偽の自白を引き出し、それを基にして報道機関に情報を流しました。このような流れにおいて悲劇的な側面が浮かび上がるのは、拷問を担当していた紅林麻雄警部補の尋問方法です。彼は過去に多くの冤罪事件を引き起こした人物で、今回も同様の方法で供述調書を作成しました。

法廷闘争

裁判では、少年が拷問の結果虚偽の供述をしたことが指摘されました。

• - 1950年12月、静岡地方裁判所は少年に死刑判決を下す。
• - 1951年9月、控訴されるも東京高等裁判所は棄却。
• - 1953年11月、最高裁判所は原判決を破棄。
• - 1956年9月、静岡地裁で無罪判決が出る。
• - 1957年、東京高裁が控訴を棄却し、最終的に無罪が確定。

このように、少年は事件に無関与であったにもかかわらず、約7年間もの間、冤罪の負担を背負うことになりました。

未解決の真犯人

二俣事件においては、少年が逮捕された後の捜査が行われず、真犯人を見つけることができませんでした。しかし、当時の捜査に関与した山崎元刑事が著書の中で有力容疑者を示しており、その人物は事件の状況証拠に関する特異な発言をしていたとされています。

結論

二俣事件は日本における冤罪の象徴とも言える事件であり、捜査機関の不備と信頼の欠如が浮き彫りとなっています。この事件が後の法改正や捜査方法の見直しに影響を与えれば、悲劇を繰り返さないための教訓となるかもしれません。事件後、元少年は77歳で亡くなりましたが、その生涯は冤罪としての影響を強く受けるものでした。

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