二俣城

二俣城の概要

二俣城（ふたまたじょう）は、静岡県浜松市天竜区二俣町に位置する日本の歴史的な山城です。この城は天竜川と二俣川に囲まれた位置にあり、その高い地勢を生かして強固な防御を築いていました。戦国時代には、武田信玄やその子信頼、さらには徳川家康との間で熾烈な攻防戦が繰り広げられました。また、この城は家康の嫡男である信康が悲劇的な切腹を遂げた場所としても知られています。現在では、この城跡は国の史跡として指定されており、訪れる人々を魅了しています。

立地と戦略的重要性

二俣は、天竜川と二俣川の合流地点に位置し、自然の地形を利用した強固な城であることから、歴史的に重要な交通の要所でした。特に北から信濃方面からの侵攻を防ぐ拠点として、南には浜名湖の東側に抜ける街道もあり、商業活動や兵の移動においても重要な役割を果たしていました。

今川氏の支配から武田・徳川の交代期

この城の築城は戦国初期、今川氏が勢力を拡大する中で開始されました。当初は平地に築城されていたものの、後に天竜川を見下ろす小高い山に移転し、現在のような山城へと発展しました。今川氏が滅亡した後、松井氏が武田の勢力下に入りますが、その後も家康によって攻撃を受けることとなります。

元亀3年（1572年）、武田信玄は二俣城を攻撃し、城代の中根正照は必死に抵抗しましたが、城は落城します。これに続く三方ヶ原の戦いでは、武田軍が大勝を収め、一時的には武田の勢力が優勢となりました。信玄の死後、家康は再び反攻を開始し、二俣城を攻撃。かつての城主であった依田信蕃は、開城を余儀なくされました。

松平信康の切腹

二俣城が特徴的なのは、家康の長男である信康が切腹する劇的な歴史を持つ点です。天正7年、家康の同盟者・織田信長から信康と築山御前が武田方に内通しているとの報告を受け、この疑惑を信じた家康は信康に切腹を命じます。信康の悲劇的な結末は、今なお多くの人々に語り継がれています。

二俣城の衰退と遺構

天正18年（1590年）には、家康の関東転出も影響し、二俣城の重要性は低下します。最終的には慶長5年（1600年）に堀尾吉晴が城を離れたことに伴い、廃城となります。廃城後も敷地内には神社が建立され、城跡は公園として整備されて現在に至ります。

城の構造と遺構

二俣城は連郭式山城の典型的な形態を持ち、台地の高低を利用して本丸、二の丸、外曲輪などが配置されています。特に本丸の標高は80メートルにも達し、周囲の木々とともに自然に溶け込んでいます。また、城の遺構としては、石垣や土塁が残っており、惣年には確認された井戸櫓が清瀧寺に復元されています。これにより、二俣城がかつてどれほどの規模を有していたのかを感じさせます。

鳥羽山城との関連

城の周辺には、家康の攻撃に関連して鳥羽山城も築かれました。この城はあまり史料が残されていないものの、発掘調査から大規模な遺構が確認されています。現在ではこの城の跡も公園として整備されており、訪問者に古の歴史を伝えています。

まとめ

二俣城はその劇的な歴史だけでなく、独特な立地や構造、遺構からも多くの魅力を持っています。歴史ファンや旅行者にとって、訪れる価値が十分にあるスポットです。

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