二分久男

二分久男：日本の競馬史に名を刻んだ名調教師

1930年宮崎県都城市に生まれた二分久男氏は、日本の競馬界において長く記憶される名調教師として知られています。騎手としてデビュー後、調教師に転身してからは、数々の重賞競走での勝利、そしてクラシック競走制覇など、輝かしい実績を残しました。その功績は、単なる勝利の数値を超え、独自の馬選びと育成方法、そして人柄にも裏付けられたものです。

騎手時代から調教師への転身

二分氏は1953年、布施文蔵厩舎から騎手としてデビューしました。1219戦60勝という成績を残し、1965年に騎手を引退。同年、調教師免許を取得し、自身の名を冠した厩舎を開業しました。師匠である布施文蔵氏の次女と結婚しており、布施正氏とは義兄弟という間柄です。

数々の重賞制覇とクラシック競走での活躍

調教師としての手腕は早くから開花しました。1968年にはクモムラサキでアラブ大賞典（秋）を制し、重賞初勝利を挙げます。その後も活躍は続き、1978年にはアグネスホープが東京優駿（日本ダービー）で2着に入線。そして、1980年にはノースガストで菊花賞を制し、念願のクラシック初制覇を達成しました。

1981年にはテキサスワイポンで中山大障害（秋）を制覇するなど、障害競走でも好成績を残しています。1988年から1990年にかけてはシンウインドが短距離戦線で活躍し、厩舎の勢いをさらに高めました。

1997年は二分厩舎にとって飛躍の年となりました。1月にはJRA通算600勝を達成し、同年にはマチカネフクキタルで2度目の菊花賞制覇という快挙を成し遂げました。さらに、テイエムオオアラシ、シンカイウンといった活躍馬を擁し、秋競馬の重賞戦線を席巻。年間32勝を挙げて全国8位という好成績を収めました。これらの馬の活躍は、二分氏の優れた選馬眼の賜物と言えるでしょう。サンデーサイレンスやブライアンズタイムといった当時の人気種牡馬の産駒をほとんど所有していなかったにも関わらず、これらの馬で重賞を6勝も挙げたことは、血統にとらわれず、馬の能力を見極める二分氏独自の相馬眼の確かさを証明しています。この年の活躍により、優秀調教師賞と優秀厩舎スタッフ賞（関西）を受賞しました。

1999年にはツルマルツヨシが京都大賞典で、メジロブライト、テイエムオペラオー、ステイゴールド、スペシャルウィークといった強豪馬を抑えて優勝するなど、最後までその手腕を発揮し続けました。

調教師引退後

2001年2月28日、定年を迎え、調教師を引退。JRA通算7783戦675勝（うち障害181戦23勝）という輝かしい成績を残しました。引退後は宮崎県に帰郷し、競走馬の育成に携わっています。NHK「おはよう日本」のインタビュー出演や、GIレース開催時のレース展望記事執筆など、競馬界への貢献は今もなお続いています。

まとめ

二分久男氏は、騎手として、そして調教師として、長年に渡り日本の競馬界に貢献した偉大な人物です。数々の名馬を育成し、数々の勝利を収めただけでなく、独自の選馬眼と育成方法、そして人柄によって、多くの人々から尊敬を集めています。その功績は、これからも競馬史に刻まれ続けることでしょう。

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