二十八糎砲

二十八糎榴弾砲について

二十八糎榴弾砲は、1880年代に大日本帝国陸軍によって開発された榴弾砲であり、主に対艦攻撃を目的とした海岸砲として設計されました。元は「二十八珊米榴弾砲」として知られ、日露戦争において特にその名が広まりました。この砲は、1884年に大阪砲兵工廠で試作され、その後1886年に行われた射撃試験を通じて高い性能を確認されたことから、1887年の海岸砲制式審査を経て1892年に制式化され、量産されています。

設備と性能

二十八糎榴弾砲は、鋳鉄製の砲身に鋼鉄製の箍を二重に嵌め込んだ構造を持ち、特に強度と耐久性に優れていました。砲弾は、焼き入れ処理を施した鋳鉄製の堅鉄弾を使用していました。英語文献では「クルップ11インチ攻城榴弾砲」と表記されることが多いものの、実際にはイギリスのアームストロング社の設計に基づいて製造された国産の砲です。実際の運用においては、発射速度があまり高くないため、装填についてはクレーンを用いて人力で行われました。

日露戦争での運用

日露戦争での二十八糎榴弾砲の運用は、特に旅順攻囲戦において顕著です。最初の動きは1904年に、東京湾要塞から朝鮮半島の要塞に移設されることが決定され、最終的には18門が旅順に送られることとなりました。この砲は、旅順におけるロシア軍の陣地に大きな打撃を与え、戦局に大きな影響を与えました。

特に、四つの観測点を形成したことで、ロシア艦隊の艦船への砲撃も行われましたが、実際には艦船の艦底を貫通することが難しく、効果は限定的でした。それでも、旅順艦隊の半壊状態を作り出し、後の日本海海戦での勝利に寄与しました。

戦後の展開と影響

日露戦争後、二十八糎榴弾砲は靖国神社に展示されるなど、日本人にとって馴染み深い兵器となりました。また、戦後には映画『二百三高地』などでその姿を再現するための複製品も作成されました。第一次世界大戦では青島の戦いにも投入され、さらにロシア軍にも譲渡されました。

年代が進むにつれ、二十八糎榴弾砲の旧式化が進んだものの、新たな牽引技術の向上により、野戦での運用を続けました。最終的には1939年の日中戦争中に野戦に投入され、おおいに活躍しました。

日露戦争を通じて帝国陸軍は大口径の重砲の運用経験を得ることができ、その後の軍事戦略にとっても重要な教訓となりました。二十八糎榴弾砲は、日本の陸軍火力の象徴として、戦争の中でその存在感を放っていたといえるでしょう。

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