二型アクセント

二型アクセントとは

二型アクセント（にけいアクセント）または二型式アクセント（にけいしきアクセント）とは、日本語の方言アクセントの一種で、アクセントの型（パターン）を二種類しか持たないものを指します。

主に九州西南部（長崎県南部から佐賀県中南部、熊本県の南西部、宮崎県えびの市、鹿児島県の薩摩・大隅の一部）や沖縄県の一部などの方言に見られます。また、福井県嶺北にも、系統の異なる二型アクセントが存在します。

東京式アクセントとの違い

東京式アクセントや京阪式アクセントでは、名詞の拍数が増えるにつれてアクセントの型も増えます。しかし、二型アクセントでは、語の拍数に関わらず、アクセントのパターンは常に二つです。この点が、二型アクセントの大きな特徴と言えるでしょう。

二型アクセントのパターン

二型アクセントの具体的な音調は地域によって異なりますが、アクセントの型の統合の仕方は、九州西南部では共通しています。二拍名詞の場合、第一類と第二類が統合されて一つのグループ（A型）となり、第三類・第四類・第五類が統合されてもう一つのグループ（B型）を形成します。例えば、鹿児島県では、A型は「かぜ」「かぜが」「さくら」「さくらが」のように、句末から2音節前の音節が高く発音されます。一方、B型は「かさ」「かさが」「あたま」「あたまが」のように、最終音節が高く発音されます。長崎県南部では、A型は「かぜ」「かぜが」、B型は「かさ」「かさが」のように発音されます。

一拍名詞では、1・2類がA型、3類がB型に発音されます。二拍名詞では、1・2類がA型、3・4・5類がB型に発音されるというルールがあります。

一型アクセントとの関係

一型アクセントは、二型アクセントの二つの型がさらに統合されて一つになったものと考えられています。つまり、二型アクセントは、一型アクセントよりもアクセントの区別がより明確に残っている段階であると言えるでしょう。

まとめ

二型アクセントは、日本語の方言アクセントの中でも特徴的な体系を持つものです。その分布や具体的な音調は地域によって異なりますが、拍数に関わらず二つのアクセントパターンしか持たないという共通点があります。この独特なアクセント体系は、日本語の多様性を示す一例として興味深いものです。

参考文献:

金田一春彦『金田一春彦著作集』第7巻、玉川大学出版部、2005年。

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