二子玉川公園

世田谷区立二子玉川公園は、東京都世田谷区玉川に広がる都市公園です。多摩川のすぐそば、そして武蔵野台地の東端にあたる国分寺崖線（こくぶんじがいせん）の緑に寄り添うように位置しています。近年開発が進む二子玉川ライズエリアに隣接して整備され、自然と都市の景観が調和した空間を提供しています。

この公園の特徴は、その地理的な環境にあります。多摩川の豊かな水辺と、起伏に富んだ国分寺崖線の緑が一体となり、都市部にいながらにして多様な自然を感じられる場所となっています。広々とした敷地内には、散策やレクリエーションに適したエリアが複数設けられています。

公園の歴史は古く、都市計画決定は1957年まで遡ります。しかし、実際に公園として整備されるまでには長い年月がかかりました。敷地の一部には、1968年12月に大田区から移転してきた東急自動車学校が立地し、その他にもゴルフ練習場などがありました。公園としての本格的な整備が始まったのは、東急自動車学校が2009年12月に多摩市へ移転した後のことです。広大な跡地を利用して工事が進められ、2013年4月14日に一部が開園。さらに翌2014年4月4日に残りのエリアも開園し、現在の姿となりました。

園内には様々な魅力的な施設があります。中でも特筆すべきは、世田谷区立公園としては初めての本格的な回遊式日本庭園「帰真園（きしんえん）」です。池泉を中心とした美しい庭園は、四季折々の植物が配され、静寂の中で日本の伝統的な庭園美を堪能できます。帰真園の敷地内には、世田谷区登録有形文化財に指定されている「旧清水家住宅書院（きゅうしみずけじゅうたくしょいん）」があります。これは明治時代末期に建てられた趣ある和風建築で、通常は毎週日曜日の日中に内部が一般公開されており、当時の建築様式や暮らしに触れることができます。

その他にも、公園の運営管理を行う「ビジターセンター」や、開放感あふれる「いこいの広場」、子どもたちが自然と親しみながら遊べる「みどりの遊び場」、公園の顔となる「エントランス広場」、そして気軽に運動を楽しめる「健康広場」などが整備されています。また、多摩川の景観を楽しめる場所に設けられた「スターバックスコーヒー二子玉川公園店」は、公園の雰囲気に合わせたデザインが施されており、休憩スポットとして人気を集めています。

二子玉川公園は、平時の憩いの場であると同時に、大規模災害発生時には重要な役割を担う防災拠点でもあります。東京都が指定する広域避難場所に指定されており、震災などの際には約1万人もの避難民を受け入れることが想定されています。さらに、応急仮設住宅を132戸建設することも計画されており、災害時の拠点としての機能が強化されています。公園整備にかかった概算工事費約17億5000万円には、こうした防災機能の構築費用も含まれています。公園に割り当てられている広域避難場所の対象地区には、上野毛二・三丁目、瀬田一・二丁目、玉川一・二丁目、野毛三丁目などが含まれます。

公園へのアクセスは、東急大井町線の上野毛駅から徒歩約8分、東急田園都市線の二子玉川駅からは徒歩約9分と、いずれも駅から比較的近い距離にあります。公園全体は基本的に常時開園しており、いつでも訪れることができます。ただし、園内の施設によっては利用時間や閉園日が定められています。例えば、帰真園は午前9時から午後5時まで開園していますが、冬期（11月1日～2月末日）は午後4時30分までとなり、毎週火曜日と年末年始は休園です。旧清水家住宅書院の内部公開は、毎週日曜日の午前9時から午後4時30分まで（冬期は午後4時まで）で、年末年始を除く日曜日のみとなります。来園の際は、これらの時間を事前に確認しておくと良いでしょう。

二子玉川公園は、多摩川と国分寺崖線の豊かな自然、歴史的な建築物、そして現代の都市景観が融合した多面的な魅力を持つ公園です。憩いの場として、散策やレクリエーションの場として、また地域の大切な防災拠点として、多くの人々に利用され、地域に根差した重要な施設となっています。

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