二宮町 (栃木県)

栃木県南東部に位置し、かつて芳賀郡に属していた二宮町（にのみやまち）は、江戸時代の農村復興指導者、二宮尊徳にその名を由来します。鬼怒川左岸に広がるこの町は、長い歴史と豊かな自然に恵まれ、2009年3月23日に隣接する真岡市へ編入され、自治体としての歴史を閉じました。

地理

町域は鬼怒川の左岸に位置し、一部は茨城県と境を接していました。町内には、鬼怒川に加え、五行川や小貝川といった一級河川が南へ流れています。周囲を囲む自治体は、栃木県の真岡市、小山市、下野市、茨城県の筑西市、桜川市でした。

歴史

二宮の地では、縄文時代から人々の生活が営まれており、古墳時代の豪族の墳墓からは古代の権力の存在がうかがえます。平安時代後期には藤原秀郷の子孫が勢力を広げ、鎌倉時代初頭には長沼宗政が長沼城を築きました。戦国時代には、久下田城が築かれ、木綿織りが奨励されるなど、地域の産業基盤が形成されました。江戸時代には複数の藩領となり、中でも1823年に荒廃した桜町（現在の二宮町の一部）の復興を託された二宮尊徳が26年間この地で活動したことは、町の歴史において特筆されます。

行政区域の変遷

近代地方制度の施行に伴い、1889年（明治22年）に久下田町、長沼村、物部村が誕生。これらの町村が合併し、1954年（昭和29年）5月3日に二宮町が発足しました。そして、約半世紀を経て、2009年（平成21年）3月23日に真岡市に編入合併され、自治体としての役割を終えました。

産業

二宮町は、全国有数のイチゴ生産地としてその名を知られていました。特に平成元年以降、17年連続で生産量日本一を記録し、その経済規模は年間50億円を超えるほどでした。多くの農家によって栽培されたイチゴは、主力品種の「とちおとめ」を中心に、全国に出荷され、高い評価を得ました。

地域を支える基盤

地域には、教育機関として中学校3校、小学校5校（※合併当時、後に統廃合あり）が置かれ、子どもたちの教育を担いました。文化施設として二宮町中央公民館や図書室が利用され、住民の交流や学びの場となりました。交通面では、真岡鐵道真岡線が走り、久下田駅が利用されました。道路網は、国道294号、408号をはじめ、多数の県道が整備されており、町内外へのアクセスを支えていました。

名所・旧跡

町内には、歴史的な名所旧跡が数多く残されています。二宮尊徳が活動の拠点とした桜町陣屋跡は国の指定史跡となっており、現在は史跡公園として整備され、尊徳資料館も隣接しています。また、親鸞が開いたとされる高田山専修寺も、境内全体が国の指定史跡となっており、深い歴史を感じさせます。

行政の特色

行政運営においては、先進的な取り組みも見られました。情報処理推進機構の実証事業に参加し、2006年からは役場内の多くのパソコンでOSをLinuxに移行するなど、オープンソース・ソフトウェアの活用を積極的に進めました。

文化・催事

年間を通じて、地域に根ざした様々な催事が行われていました。主なものとして、以下の祭りやイベントがありました。

高田山専修寺の針供養（高田の夜祭り）（8月1日）
久下田町のいたどまち（11月下旬）
二宮夏祭り・花火大会（8月下旬）
にのみやいちごまつり（5月下旬）
* 泥んこバレーボール大会（7月下旬）

結び

二宮尊徳の教えが息づき、豊かな恵みを生み出した二宮町は、その歴史と文化を真岡市に引き継ぎ、新たな歩みを続けています。

もう一度検索