小貝川

小貝川（こかいがわ）

小貝川は、関東平野を北から南へと流れる一級河川であり、利根川水系の支流です。全長111.8kmを誇り、利根川の支流の中では2番目に長い川として知られています。流域は栃木県、茨城県、千葉県にまたがり、その豊かな自然と歴史が特徴です。

概要

小貝川は、古くは「小飼川」や「蚕養川」とも表記され、地域によっては「前井川」「幸田川」といった別名でも呼ばれていました。バス釣りの名所としても知られており、釣り雑誌などにも頻繁に取り上げられています。下流部はかつて下総国と常陸国との境をなしており、歴史的にも重要な役割を果たしていました。頻繁に洪水を起こす「暴れ川」として知られていますが、その一方で、川の美化活動も活発に行われています。

語源

小貝川の語源については、いくつかの説が存在します。

流域で貝塚が発見されており、かつては多くの小貝が採れたことから名付けられたという説。
常陸国と下総国の国境を流れていたため、「国境（こっかい）」が転じて「こかい」となったという説。

地理

小貝川は、栃木県那須烏山市の小貝ヶ池に源を発し、南へ流れます。途中で五行川や大谷川などの支流と合流し、茨城県取手市、北相馬郡利根町と千葉県我孫子市の境で利根川に合流します。流域には三日月湖が点在し、下流部には小貝川低地と呼ばれる低地が広がっています。また、筑波・稲敷台地の末端には牛久沼があります。

流域自治体

小貝川の流域には、以下の自治体が含まれます。

栃木県: 那須烏山市、芳賀郡市貝町、芳賀郡益子町、真岡市
茨城県: 筑西市、下妻市、常総市、つくば市、つくばみらい市、守谷市、取手市、龍ケ崎市、利根町

歴史

縄文海進期には、下妻付近まで入り江が湾入し、古鬼怒湾（香取海）を形成していました。その後、鬼怒川や小貝川からの土砂の堆積によって古鬼怒湾は後退し、広大な氾濫原が形成されました。江戸時代には、小貝川は現在のつくばみらい市寺畑付近で鬼怒川に合流していましたが、その後の瀬替え工事によって流路が変更され、現在の形となりました。

1938年の水害後、建設省は小貝川の流路変更を計画しましたが、地域住民の反対運動により実現には至りませんでした。

水害の歴史

小貝川は、過去に何度も水害に見舞われています。特に下流部の龍ケ崎市や取手市周辺では、堤防の決壊や溢水が頻発していました。主な水害の記録は以下の通りです。

1935年9月26日：堤防決壊
1938年6月28日：水害
1941年7月10日：堤防決壊
1950年8月2日：堤防決壊、床上浸水1880戸、被災者25000人
1958年9月27日：水害
1966年6月26日：水害
1981年8月24日：水害
1986年8月4日：堤防決壊、大規模な洪水被害
2007年10月3日：水害

1986年の水害を契機に、筑西市には母子島遊水池が建設されました。

支流

小貝川には、以下のような支流があります。

大川
大羽川
五行川（勤行川）
大谷川
糸繰川
谷田川
北浦川
中通川（茨城県）

橋梁

小貝川には、多くの橋が架けられています。中には沈下橋や木造の「流れ橋」も存在します。主な橋梁は以下の通りです。

（橋梁リストは省略。原文参照）

その他

小貝川は、その豊かな自然と歴史的背景から、地域住民にとって重要な存在です。近年では、清掃活動や環境保護活動も活発に行われ、川の保全に力が注がれています。

関連項目

牛久沼
新利根川
日本の川一覧

外部リンク

* 国土交通省関東地方整備局下館河川事務所

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