専修寺

専修寺（本寺・本山）

真宗高田派の寺院である専修寺は、栃木県真岡市高田にある本寺専修寺と、三重県津市一身田町にある本山専修寺の2ヶ所に存在します。本山住職が本寺住職を兼任する体制を取っています。寺名は、浄土系宗派の特徴である専修念仏に由来しています。

本寺専修寺（栃木県真岡市）

歴史

伝承によると、嘉禄元年（1225年）、浄土真宗の開祖である親鸞が関東での布教活動中に、真岡城主大内国行の懇願により創建されました。別の説では、親鸞が野宿中に童子の姿をした神に啓示を受け、この地に寺院を建立したと伝えられています。信濃国善光寺の秘仏を模した善光寺式阿弥陀三尊像を本尊として迎え、親鸞が建立した唯一の寺とされています。

その後、親鸞の門弟で有力者であった真仏が管理に当たったと推定されています。嘉禄2年（1226年）には後堀河天皇より勅願寺の綸旨を受け、親鸞は遊行から本寺中心の活動へと移行し、約7年間をこの寺で過ごしました。東国における初期浄土真宗の拠点として重要な役割を果たしました。真仏を中心とした門徒衆は「高田門徒」（現在の真宗高田派）を形成し、京都の親鸞から指導を受けていました。

室町時代には「専修寺」を名乗り始め、10世真慧の時代に東海・北陸方面への教化活動が盛んになり、宇都宮氏らの庇護を受け発展しました。しかし、永正9年（1512年）に真慧が亡くなると、後継者争いが勃発し、大永6年（1526年）には兵火により伽藍が焼失、荒廃しました。

江戸時代に入り伽藍は再建され、現在も本尊である一光三尊仏が安置されています。境内には、親鸞ゆかりの「般舟石」や仮住居跡「三谷草庵」の復元なども見られます。

境内

境内には、重要文化財に指定されている如来堂（本堂）、御影堂、山門、総門を始め、太子堂、鐘楼、鼓楼、御成門、対面所、庫裏、書院、御殿、涅槃堂、長屋門、茶所、御廟などがあります。また、親鸞聖人の歯が埋葬されている御廟や歴代住持の墓もあります。

文化財

重要文化財：如来堂、御影堂、山門、総門、木造顕智坐像など

国指定史跡：専修寺境内

栃木県指定有形文化財：木造親鸞聖人像、木造南無仏太子像、木造涅槃像など

本山専修寺（三重県津市）

歴史

専修寺10世真慧によって、文明年間（1469年～1487年）に伊勢国の門徒の要請を受け、新たな布教拠点として無量寿院として創建されました。文明10年（1478年）には後土御門天皇から綸旨を得ています。

下野国高田の本寺が焼失し、教団内紛を経て、無量寿院が教団の中枢となり、本山専修寺と呼ばれるようになりました。多くの親鸞の真筆類もここに移されました。

江戸時代の正保2年（1645年）の大火で全山が焼失しましたが、津藩の援助を受けて再建されました。他の浄土真宗本山と異なり、門徒の意見を尊重し、南面形式で再建されました。

広大な境内は寺内町を形成し、近年はドラマや映画のロケ地としても利用されています。

本尊「証拠の如来」

本尊である阿弥陀如来立像は「証拠の如来」と呼ばれ、寛正の法難において、真慧が比叡山で浄土真宗の教義を講義し、高田派の正統性を認められた際に延暦寺から譲られたと伝えられています。

境内

国宝に指定されている如来堂（本堂）と御影堂を始め、重要文化財に指定されている通天橋、太子堂、御廟、御廟拝堂、御廟唐門、透塀、骨堂、大玄関、対面所、賜春館、茶所、山門、唐門、鐘楼、太鼓門など、多くの貴重な建造物が存在します。また、庭園「雲幽園」なども見どころです。宝物館「燈炬殿」も整備されています。

文化財

国宝：御影堂、如来堂、西方指南抄、三帖和讃など

重要文化財：山門、唐門、通天橋、御廟拝堂、鐘楼など多数

三重県指定有形文化財：木造阿弥陀如来立像、銅造誕生釈迦仏立像など

三重県指定史跡・名勝：庭園「雲幽園」

津市指定有形文化財：専修寺釘貫門、木造聖徳太子立像など

特記事項

真宗高田派専修寺では、他の真宗教団と異なり『歎異抄』を聖典として用いていません。これは、多数の親鸞真筆を所蔵しているため、あえて用いる必要がないとされているためです。専修寺は現存する親鸞真筆の4割強を所蔵しており、東西本願寺を上回ります。

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