二審制

二審制とは

二審制とは、裁判において、確定までに上訴できる裁判所が1階層あり、当事者が希望すれば合計2回まで審理を受けることができる制度を指します。この制度は、一審の判決に不服がある場合に、より上位の裁判所で再度審理を受ける機会を保障することで、裁判の公平性と正確性を高めることを目的としています。

日本における二審制

日本では、三審制が基本とされていますが、以下のような特定の裁判においては二審制が採用されています。

内乱罪に関する訴訟: 第一審は高等裁判所、第二審は最高裁判所で行われます。
選挙に関する行政訴訟: 第一審は高等裁判所、第二審は最高裁判所で行われます。
選挙人名簿の登録に関する行政訴訟: 第一審は地方裁判所、第二審は最高裁判所で行われます。
市町村の条例の制定・改廃に関する行政訴訟: 第一審は地方裁判所、第二審は最高裁判所で行われます。
法定受託事務に関する代執行訴訟: 第一審は高等裁判所、第二審は最高裁判所で行われます。
国または都道府県の関与に対する訴え、普通地方公共団体の不作為に対する国または都道府県の訴え: 第一審は高等裁判所、第二審は最高裁判所で行われます。
審決等に対する行政訴訟: 第一審は知的財産高等[[裁判所]]、第二審は最高裁判所で行われます。（特許、商標、意匠、実用新案についても準用）
総務大臣の処分に対する異議申立てに関する行政訴訟: 第一審は東京高等[[裁判所]]、第二審は最高裁判所で行われます。
公害等調整委員会の裁定に関する行政訴訟: 第一審は東京高等[[裁判所]]、第二審は最高裁判所で行われます。
国民投票無効の訴訟: 第一審は東京高等[[裁判所]]、第二審は最高裁判所で行われます。
裁判官国民審査無効の訴訟、罷免無効の訴訟: 第一審は東京高等[[裁判所]]、第二審は最高裁判所で行われます。
弁護士の登録拒否等、懲戒に関する訴訟: 第一審は東京高等[[裁判所]]、第二審は最高裁判所で行われます。
外国弁護士の登録拒否等、懲戒に関する訴訟: 第一審は東京高等[[裁判所]]、第二審は最高裁判所で行われます。
人身保護請求: 第一審は高等裁判所または地方裁判所、第二審は最高裁判所で行われます。（例外的に最高裁判所が第一審かつ終審となる場合もあります）

また、三審制の裁判であっても、最高[[裁判所裁判官]]の定員が少ないことや上告理由が制限されていることから、実質的に二審制に近い状態になっているとも指摘されています。

一審制の例

一部の手続きでは、一審制が採用されています。

当事者に申立権がない場合: 裁判所の職権発動に委ねられている手続き（弁論の分離・併合、弁論の再開など）に対しては、当事者に抗告する権利がないため、一審で終了します。
証拠調べの必要性がないとして文書提出命令の申立が棄却された場合: 裁判所が証拠調べの必要性がないと判断した場合、その決定に対する抗告は認められないことが判例で示されており、一審で終了します。

中華人民共和国における二審制

中国では、裁判所は四階層（基層人民法院、中級人民法院、高級人民法院、最高人民法院）に分かれていますが、事件の種類によって開始される法院の階層が異なり、裁判は基本的に二審制です。例えば、基層人民法院から開始された裁判は中級人民法院で審理が終了し、高級人民法院や最高人民法院へ移ることはありません。

ただし、中国では再審が広く認められており、実質的には三審制に近いとも言われています。また、死刑判決に関わる裁判は例外的に三審制が採用され、最終的に死刑とするか否かは最高人民法院の判決を待つ必要があります。

中華民国（台湾）における二審制

台湾の裁判は、基本的に三審制（地方法院、高等法院、最高法院）ですが、行政訴訟については二審制（高等行政法院、最高行政法院）が採用されています。ただし、2012年以降、一部の行政訴訟は地方法院で審理されるようになり、その場合は地方法院と高等行政法院の二審で終了し、最高行政法院へは移りません。

関連項目

一審制に関する記事へのリンク'>一審制
三審制
* 四審制

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