二式水上偵察機

二式水上偵察機の概要

二式水上偵察機は、大日本帝国海軍によって制式採用された水上偵察機で、単発、複葉、複座、双浮舟という特徴を持つ機体です。時には二式複座水上偵察機とも呼ばれ、設計はドイツのハインケルによるもので、愛知航空機で生産されました。この機体は、ハインケル社内ではHD-25として知られていました。

この機体の大きな特徴は、艦載水上偵察機として艦上の滑走台から発進する能力です。設計は比較的シンプルで、スタガット式の複葉を採用しており、上翼が下翼よりも若干前方に配置されています。海面に浮かぶ二つの浮舟によって安定した飛行が可能で、開放式の縦列複座が用意されています。

1926年、大正15年に試作機がドイツのヴァルネミュンデで初飛行し、その後日本に輸入されて試験が行われました。この試験結果を受け、1928年3月に正式に制式採用され、二式水上偵察機として命名されました。愛知航空機では16機が生産され、巡洋艦に搭載される水上偵察機として運用されました。初期の段階では、輸入されたHD-25は「ハインケル式軍艦用水上機」として海軍に呼称されていました。

また、同じ1928年には、逓信省航空局による民間旅客機の試作要求に応じて、非武装型の水上旅客機AB-1も生産されました。この機体は、乗員が2名、搭乗可能な旅客が4名の設計でしたが、三菱のMC-1や中島のND-25との比較試験では、複列操縦席が主翼の後方に位置するため視界が悪く、また開放式の操縦席や複葉の羽布張りといった旧式な構造が問題視されたため、結局日本航空輸送での訓練や従業員の輸送に限られて用いられました。

性能諸元

以下は二式水上偵察機の主な性能に関する情報です。

• - 全長: 9.70m
• - 全幅: 14.88m
• - 全高: 4.27m
• - 自重: 1,700kg
• - 全備重量: 2,570kg
• - 最高速度: 203km/h
• - 乗員: 2名
• - 発動機: ネピア ライオン 水冷W型12気筒 450hp×1
• - 航続距離: 910km
• - 武装:

- 7.7mm機銃×1（後方旋回）
- 爆弾類300kgまでの搭載が可能

このように、二式水上偵察機は日本海軍にとって重要な役割を果たした航空機であり、その設計と性能は当時の技術を反映したものでした。

もう一度検索