二式水上戦闘機

二式水上戦闘機について

概要

二式水上戦闘機（にしきすいじょうせんとうき）は、大日本帝国海軍が第二次世界大戦中に導入した水上戦闘機です。この機体は一般に「二式水戦」と略称され、制式番号はA6M2-N、連合国によるコードネームは「Rufe（ルーフ）」です。開発は中島飛行機が手がけました。

開発の背景

日本海軍は、日中戦争中に搭載機銃で敵機を撃墜する水上観測機の活躍を見て、1939年に本格的な水上戦闘機の開発を決意しました。これにより、十分な性能を持つ新型機の開発が進められましたが、太平洋戦争の開戦を迎えると新型機の完成が間に合わないことが明らかになり、急遽零式艦上戦闘機（零戦）を基にした水上戦闘機の開発が始まりました。

1941年、中島飛行機に「仮称一号水上戦闘機」の試作が指示され、約11か月後に初飛行が実施されました。主な設計は零戦一一型に基づいているものの、水上機としての特性を考慮して幾つかの改良が加えられました。

設計の特徴

二式水上戦闘機の基本的な設計は零戦一一型と類似していますが、水上機へ改造されたために以下のような変更が施されました：

• - 主脚や尾輪を廃止
• - 胴体下に主フロート、及び左右翼下に補助フロートを装備
• - 垂直尾翼の拡大および安定鰭の追加
• - 電装系の防水処理の実施

また、搭載した武装やエンジンは零戦一一型のものをそのまま利用しましたが、機体の改修により重量が増加し、上昇力や速度が若干低下しました。それでも、機動性は優れており、水上機としては非常に高い性能を持っていました。

運用状況

二式水上戦闘機は生産され、太平洋各地に展開して各種の任務に従事しました。特に452海軍航空隊と802海軍航空隊は、この機体を使いアリューシャン諸島での攻撃に成功しました。しかし、陸上機や艦上機には劣る性能であったため、主に敵の爆撃機や偵察機に対する迎撃に利用されました。

1943年に生産は停止されましたが、本土防空や海上護衛の任務で戦後まで活躍し、一部は特攻機として使用されることもありました。総生産機数は327機で、決して多くはありませんが、当時の水上戦闘機としては世界でも最多の生産数を誇ります。

戦後の状況

終戦時には24機が残存していましたが、戦後これらも処分され、現存する機体はありません。ただし、フランス軍が戦後に捕獲した1機が使用された記録があります。また、2015年にはミクロネシア連邦近海で本機と思われる機体が発見され、現在もその行方については不明な点が残っています。

飛行機の特徴

• - 乗員: 1名
• - 全長: 10.24m
• - 翼幅: 12.50m
• - 最高速度: 437km/h
• - 航続距離: 1,150km

終わりに

二式水上戦闘機は、日本における水上機技術の結晶であり、当時の戦局において重要な役割を果たしました。その設計思想や運用実績は、航空機史において興味深い一ページを形成しています。

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