五代帝王物語

『五代帝王物語』の概要

『五代帝王物語』は、鎌倉時代後期に執筆された歴史物語であり、異名として『五代記』や『五代王記』とも呼ばれています。この作品は編年体の形式で構成されており、後堀河、四条、後嵯峨、後深草、そして亀山の五代の天皇に焦点をあてています。しかし、作品の作者についての記録は残されておらず、明らかにはなっていません。

作品の内容

タイトルにある「五代」は、作品が扱う天皇を指しており、重要な歴史的背景が反映されています。『六代勝事記』の後を継ぐ形で執筆されていますが、最初の2代の天皇に関する記述は少なく、特に亀山天皇に関する記載は後嵯峨法皇の葬儀に関連する行事で締めくくられています。このことから、作者は後嵯峨天皇（法皇）の身近な側近であった可能性が指摘されています。

作品におけるストーリーの進行は特定の天皇に偏りが見られ、特に亀山天皇に関連する最終章では、葬儀に関するイベントが取り上げられています。これにより、作者の意図や視点が読み取れる部分があります。

著者に関する考察

『五代帝王物語』の著者に関しては複数の説が存在します。一説によると、後嵯峨天皇の側近によって書かれた可能性が高いとされています。この場合、物語は法皇の立場を強調する意図があったのかもしれません。また、後深草天皇の子である熈仁親王（後の伏見天皇）については、その存在が意図的に過小評価されていることから、著者が亀山天皇やその子孫である大覚寺統の支持者だったとも考えられるのです。

後世への影響

後に編纂された『増鏡』において、『五代帝王物語』が参照されていることは、歴史物語としての重要性を物語っています。このことからも、作品が持つ歴史的な価値は高く、当時の政治情勢や社会を知る手がかりとなります。

このように、『五代帝王物語』は歴史的な背景や著者の意図を考察する上で興味深い作品であり、日本の歴史を理解する一助となるでしょう。

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