大覚寺統

大覚寺統について

大覚寺統（だいかくじとう）は、日本の歴史において重要な役割を果たした皇室の系統です。この系統は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて皇位に即いたもので、持明院統と対抗する形で展開しました。名の由来は、第90代亀山天皇の子であり、後宇多天皇として即位した皇子が京都の嵯峨野にある大覚寺の再興に尽力し、最終的には院政を行ったことにあります。このように大覚寺統は、皇室の歴史の中で多くの争いや権力闘争に巻き込まれてきました。

両統迭立までの経緯

大覚寺統は、正嘉2年（1258年）に後嵯峨上皇が後深草天皇の弟、恒仁親王を皇太子に指名したことから始まります。そして翌正元元年(1259年)には後深草天皇から恒仁親王が譲位され、その後、亀山天皇の子である世仁親王が皇太子に選ばれました。後嵯峨上皇の死後、後深草上皇と亀山天皇の間に皇位継承を巡る対立が生じ、その調停は鎌倉幕府によって行われました。最終的に幕府は亀山天皇の名を支持し、亀山天皇が政務を執ることとなりました。

この皇位継承の争いは長引きましたが、最終的には後深草と亀山の子孫がほぼ10年ごとに交互に皇位を継ぐ「両統迭立」が決定しました。

両統迭立後の争い

後二条天皇の死後、後宇多法皇は尊治親王に皇位を継がせようとしましたが、尊治親王は後醍醐天皇として即位し、権力を握ります。後醍醐天皇の一連の行動が後宇多法皇や皇太子邦良親王の反発を招き、院政が停止される事態に至りました。持明院統と鎌倉幕府は親王を支援し、またもや皇位継承に関する対立が激化します。元弘3年（1333年）には、ついに鎌倉幕府が滅亡し、後醍醐天皇が復位することになります。

その後、建武の新政では大覚寺統と持明院統が一時的に統一される成果を収めますが、この体制は短命に終わりました。大覚寺統の天皇は吉野に逃れ、持明院統の天皇が足利尊氏に擁立される北朝と、後醍醐天皇系の南朝との対立が本格的に始まりました。

南北朝時代の苦悩

観応の擾乱では一時京都を奪回し、元号を統一しましたが、それも長続きはしませんでした。そして、足利義満の仲介により、最終的に大覚寺統の後亀山天皇が持明院統の後小松天皇に神器を引き渡し、南北朝時代の分裂が終結しました。明徳の和約により、皇位が持明院統にのみ継承されることが決定されたため、大覚寺統の子孫たちは不満を抱くこととなりました。南朝の遺臣たちは、宮中の神器を奪取して抵抗を続け、これが15世紀半ばまで続くことになります。

大覚寺統の天皇たち

具体的な大覚寺統の天皇には、亀山天皇（90代）、後宇多天皇（91代）、後二条天皇（94代）、後醍醐天皇（96代、南朝初代）、後村上天皇（97代、南朝2代）、長慶天皇（98代、南朝3代）、そして後亀山天皇（99代、南朝4代）が含まれます。これらの天皇はそれぞれの時代背景の中で、変わりゆく権力関係の波に翻弄されながら、その後の皇室の系譜に深く刻まれています。

大覚寺統の皇女は近衛家に嫁ぎ、その血筋は現在の皇室にも繋がっています。これにより大覚寺統は完全に消滅したわけではなく、歴史の中で重要な血脈として引き継がれ続けています。

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