五剣山博之

五剣山博之（ごけんざん ひろゆき）は、1973年7月12日生まれ、香川県高松市出身の元大相撲力士です。本名は五藤博之（ごとう ひろゆき）。1989年3月場所に藤島部屋から初土俵を踏み、その後、二子山部屋、最終的には貴乃花部屋に所属しました。得意手は右四つ、寄り。身長194cm、体重195kgという恵まれた体格を活かした相撲が特徴でした。最高位は東十両6枚目（2003年3月場所）です。

中学卒業後に藤島部屋に入門し、1991年5月場所には17歳という若さで幕下に昇進。長身から繰り出す豪快な右四つ相撲は、早い段階から周囲の期待を集めました。幕下上位でやや苦労する時期もありましたが、1994年11月場所には西幕下23枚目で見事幕下優勝を果たします。その勢いに乗り、翌1995年1月場所も勝ち越し、1995年3月場所には念願の十両昇進を果たしました。

しかし、十両昇進後は度重なる腰や膝の怪我に悩まされ、幕下に低迷する時期が続きます。一時、三段目まで陥落するも、徐々に番付を戻し、2002年11月場所には実に4年振りに十両に返り咲きを果たしました。2003年3月場所では自己最高位となる東十両6枚目まで番付を上げ、優勝争いに加わる活躍を見せるなど体調も回復しましたが、再び腰を痛め、2004年1月場所を最後に幕下に陥落しました。

その後は、体調が依然として思わしくない状態が続き、十両復帰を目指し懸命に土俵を務める傍ら、貴乃花部屋の古参力士として、苦闘が続く部屋を支える役割も担っていました。しかし、2006年11月場所13日目に引退を表明。この引退により、貴乃花部屋からは関取経験のある力士が一時的に不在となり、また、香川県出身の力士も一時的に不在となりました。

二子山部屋は、若乃花、貴乃花兄弟、貴ノ浪、安芸乃島、貴闘力といった数多くの名力士を輩出した一方で、200kgを超える豊ノ海が三役昇進を果たすことができず、190kgを超える五剣山も十両止まりに終わるなど、パワー相撲を得意とする巨漢力士が必ずしも大成しないという一面もありました。

引退後は、2007年12月に香川県のビルメンテナンス業である西日本ビル管理が立ち上げた相撲部（県内初の実業団相撲部）のコーチに就任しましたが、同相撲部は大会に出場することはなく、西日本ビル管理も2009年1月に民事再生法を申請し、相撲部は活動を終えました。その後も地域のイベントなどに参加し、相撲の普及活動に尽力しています。

五剣山の血液型はB型で、趣味は音楽鑑賞。愛称は本名である「ゴトウ」でした。四股名の由来は、四国八十八箇所霊場の第八十五番札所である八栗寺がある地元、五剣山です。

横綱・貴乃花の付き人を貴花田時代から務め、有能な付き人頭としてその名を知られていました。新十両に昇進した場所でも、貴乃花の付き人たちに指示を出すなど、付き人頭としての役割をしっかりと果たしていたという逸話も残っています。この逸話はNHKのテレビ放送でも紹介され、解説者からは「新十両は勝ち越すまで関取じゃないと言いますからね」というコメントが残されています。ちなみに、その場所では8勝7敗で勝ち越しを決めています。

現在の貴乃花部屋へ改称する前の二子山部屋時代に、最後に関取昇進を果たした力士でもあります。

テレビの大相撲中継では、花道の奥で貴乃花と一緒に映る姿がしばしば見られ、熊を思わせる力士らしい容姿も手伝い、名前だけでなく顔も広く知られていました。

現役時代は、同部屋の中渕と並ぶほどの強面力士として知られていました。中渕は2004年に亡くなっています。

五藤を名乗っていた幕下時代には、他の部屋の下位力士に容貌がよく似た者がおり、その力士が五藤と間違えられ困惑したという逸話が相撲雑誌に掲載されたこともあります。

通算成績は420勝397敗12休、勝率.514。十両成績は64勝86敗、勝率.427。現役在位は108場所、十両在位は10場所。幕下優勝は1回（1994年11月場所）です。

改名歴は、1989年3月場所から1995年1月場所までが五藤博之、1995年3月場所から2006年11月場所までが五剣山博之です。

関連項目としては、同じく四国出身で最高位が十両6枚目、巨漢という共通点が多く、十両での成績も似通っている柳川信行や、同学年で同じ二所ノ関一門に所属し、四股名が似ている五城楼勝洋などが挙げられます。

外部リンクとして、日本相撲協会の五剣山博之のページがあります。

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