五味一男

五味一男:視聴率100%男の軌跡と「五味理論」



五味一男氏は、演出家、プロデューサー、著作家作詞家漫画原作者として多岐に渡る活躍をみせる、稀代のマルチクリエイターです。日本テレビ放送網(株)前上席執行役員や日テレアックスオン執行役員ジェネラルクリエイターなどを歴任し、公益財団法人読売日本交響楽団評議員も務めるなど、その影響力はテレビ業界の枠を超えています。

視聴率100%男」の異名

五味氏が手がけた番組の視聴率は、担当した6番組中5番組で20%を超える大ヒットを記録。合計視聴率が100%を超えたことから、「視聴率100%男」と呼ばれるようになりました。 「視聴率男」「生涯打率No.1」といった表現も、彼の功績を表す際に頻繁に使われています。

視聴率を生み出す「五味理論」

彼の成功の鍵は、独自の番組制作手法、すなわち「五味理論」にあります。これは単なる演出術ではなく、視聴者の心を掴むための緻密な戦略です。講演や著書、インタビューを通して公開されているその手法は、多くの企業からも注目を集め、「ビジネス界」にも影響を与えました。

五味氏のポリシーは「視聴率は親切率」。視聴者にとって親切で、分かりやすく、そして面白い番組作りを追求しています。その具体的な手法として、

『24時間テレビ』への24時間マラソン導入
ZARD負けないで」を用いた感動的なエンディング演出
「フライングスタート」の導入
芸人のネタに台詞テロップを多用

などが挙げられます。これらの革新的な試みは、現在のテレビ番組制作においても当たり前になっているものが多く、その影響は計り知れません。

早稲田大学中退から日本テレビ入社まで

長野県出身の五味氏は、早稲田大学在学中に映画界への道を志し、日本大学藝術学部放送学科へ転学。卒業後、東映を経て、1987年、4000倍という狭き門を突破し、日本テレビに入社しました。入社試験での「フジテレビにかなり遅れを取っている」という率直な発言は、彼の胆力と、既存の枠にとらわれない発想を物語っています。

数々のヒット番組と革新的な演出

日本テレビ入社後は、クイズ番組クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』、『マジカル頭脳パワー!!』、『投稿!特ホウ王国』、『速報!歌の大辞テン!!』、『週刊ストーリーランド』、『エンタの神様』など、数々の長寿番組をヒットに導きました。

これらの番組制作において五味氏は、

CMをクライマックスシーンに挿入する手法(山場CM)
スーパー(字幕)の多用
* 幅広い世代が楽しめる問題構成

など、視聴者の心を掴むための様々な工夫を凝らしました。特に『エンタの神様』では、多くの若手芸人を発掘・育成し、お笑いブームを牽引する役割を果たしました。

「五味理論」の普及と多様な活動

「五味理論」はテレビ業界のみに留まらず、リクルート、アサヒビール、Yahoo!など、多くの企業からも注目を集め、講演活動などで広く紹介されています。また、秋元康氏や柳井正氏を尊敬する人物として挙げるなど、幅広い分野で活躍しています。

さらに、作家としても『視聴率男の発想術』など数々の著書を発表し、漫画原作『超推脳KEI 摩訶不思議事件ファイル』も手がけるなど、その活動は多岐にわたります。

評価と影響

五味氏の功績は、多くの関係者から高い評価を得ています。一方で、彼の演出手法は賛否両論を呼びました。しかし、結果として視聴率の大幅な向上という成果を挙げ、テレビ業界に多大な影響を与えたことは事実です。

彼の番組制作におけるこだわり、斬新な発想、そして視聴者への深い洞察は、これからも多くのクリエイターに影響を与え続けることでしょう。

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